最も美しい顔のジャケットの次は、最もおっかない顔のジャケットのアルバムをご紹介(笑)。ヒプノシスによるピーター・ガブリエルに匹敵するおっかなさである。
しかし、このアルバムの音は、『シャイニング』のジャック・ニコルソンばりのジャケットより想像されるものからかなり遠い。ねじれたユーモアセンスが感じられるのはこの人らしいが、アルバム全体としては繊細でとにかく美しい。全編ドラムン・ベースなアルバムだが、ダンスミュージックの機能性から完全に解き放たれており、今聴いても古くなっていない。
さて、本作の後に、クリス・カニンガムによる傑作ビデオとともに記憶される "Come To Daddy" と "Windowlicker" という強力極悪な EP を連発するが、次のアルバムはその延長線上にはなかった。それは当時から予測していたことではあるが(この人はそういう意味で聞き手を裏切る人なので)、一方でその二曲の路線でアルバムを作っていたらどんな恐ろしいものになっていたのだろう、とたまに思ったりもする。