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P2P仮想通貨Bitcoinシステムにおける匿名性の分析:Bitcoinは匿名にあらず

P2P 仮想通貨サービス Bitcoin日本語版)については5月あたりに最初の熱狂のピークがあり、そのあたりについては TechCrunch の「オープンソースの電子マネー、Bitcoinの実験」に詳しいが、6月になって最も人気の通貨交換所が盗まれたアカウントにより崩壊というニュースもあり、電子フロンティア財団Wikileaks など Bitcoin による寄付を募るところもでてきたが、安全性はどうなんだいという懸念も高まった。

Bitcoin は元々中本哲史という日本人の論文 Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System(リンク先 PDF ファイル)を理論的基盤としているが、この中本氏に取材した日本の IT メディアはないのかな?

これは八田真行(id:mhatta)が詳しそうな分野なので、彼による解説を期待するとして、それまではこの動画をどうぞ。

さて、一週間前に O'Reilly RadarAn Analysis of Anonymity in the Bitcoin System: Bitcoin is not Anonymous というページを知った。

これはページタイトルの通り、Bitcoin の匿名性を分析したものである。Bitcoin は匿名性の実現を目標にしてはいないが、現実にはそれが利点として言及されることも多い。たとえば Bitcoin 経由の寄付を勧める Wikileaks が言うように Bitcoin はセキュアで匿名的なデジタル通貨なのか?

で、結論もページタイトルにある通り、Bitcoin は匿名にあらず、とのこと。決して追跡不可能ではないということだろうね。

そういえば暗号方面でも著名なソフトウェア技術者 Ben LaurieBitcoin に懐疑的で、これに替わるものとして An Efficient Distributed Currency(リンク先 PDF ファイル)という論文を公開しているのを Boing Boing で知った。

こうやって活発な議論とともに仮想通貨システムが鍛えられ、より良いものができるとよいのだけど。マイクロペイメントは未だキラーソリューションが待たれる分野だと思うしね。

オープンなクラウドコンピューティングを目指す団体が始動

LWN.net で知ったが、Open Cloud Initiative (OCI) という非営利団体が立ち上がったそうな。

screenshot

オープンなクラウドコンピューティングを目指すって、数年前にもそんな動きがあったような記憶があるが、これはどの程度支持を得るのだろうか。興味ある方は Open Cloud Principles (OCP) をご一読あれ。オープンクラウドはオープンなフォーマットとオープンなインタフェースが必要とな。

ReadWriteCloud にも紹介記事があるが、かつてマイクロソフトオープンソースを推進し、現在は Cisco にいるらしい Sam Ramji も関わっているとのこと。

『トッド・ラングレンのスタジオ黄金狂時代』が面白そうだ

こないだのフジロックでも素晴らしいステージをみせてくれたらしい(観たかった……)トッド・ラングレンの伝記本の邦訳が出ている。

トッド・ラングレンは卓越したソングライターにして、白人ソウルシンガーとしてのポテンシャルもずば抜けている人で、いわゆる宅録ロックのはしりといえる人だが、彼自身のレコードセールスだけでは語れない影響をアメリ音楽史に残してきた人である。

それはプロデューサーとしての仕事だが、レッグス・マクニール&ジリアン・マッケイン『プリーズ・キル・ミー』を読んで、資質的な意味であまりつながりを感じてなかったニューヨークパンクに関しても彼が大きな仕事をしているのを認識させられたっけ。

そうしたプロデュースワークや実の娘でないリブ・タイラーをずっと育てていたという話を知るに、すごく面倒見の良い人なのかなとも思うが、XTC『スカイラーキング』制作時に揉めに揉め、アンディ・パートリッジに「アメリカ人と思えないくらい毒舌で性格が悪い」と言われているのをみるとよく分からなくなる。そうした意味でこの本は読んでみたいところ。

折角なので彼の近年の映像をば。ダリル・ホールがやっている Live From Daryl's House with Daryl Hall(この番組のことは好きなので、いつか別で取り上げたい)に出演したときものだが、思えばホール&オーツもトッドに多くを負っているよね。

デンマークのアカペラグループによる90年代ダンスメドレー

Coverville で知ったのだが、Local Vocal というデンマークアカペラグループによる90年代(前半)ダンスメドレーが結構良かった。

メドレーで歌われている曲目リストは YouTube のページにあるが、Ace of Base や Me & My や 2 Unlimited といった、好んで聴きたいとは思わない面子が並んでいる。しかし、こうやってアカペラで聞くと気持ちよいのが不思議である。

回路

回路 [DVD]

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黒沢清の映画は『降霊』ぐらいしかまともに観てなかったのだが、麻生久美子さんが主演なんだからもっと早く観てればよかった。本作は幽霊を真正面から描いているが、麻生久美子がアレを目撃してしまう場面、それまで死をひどく恐れていた小雪が自分が選ばれた(?)ことを悟って安堵の笑みを浮かべながら近づいてくる場面とか、幽霊が出てない場面のほうが怖かった。

くりごはんが嫌いの評にもあるが、人が繋がることなくどんどん消えてゆき、気がつくと世界がこんなになっててそこから逃げるしかないというゾンビを幽霊に置き換えた作品である。そうした意味で、本作の仕掛けというか約束事がうまく機能しているように思った。

ホラーだから当然暗いトーンだけど貧乏臭くないビジュアルは見事で、人が部屋のシミになってしまう演出などよかったし、特にかぶっていたゴミ袋を脱ぐシーンなど、そもそも脱ぐならなんでそんなもの最初から被ってんだよ、というツッコミを忘れるほどゾクゾクきたが、その後で銃が出ると一気に冷めてしまった。そこで麻生久美子が目撃するアレみたいに嫌な感じにすべきで、あそこで銃ではダメだろ。

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