2015-03-15

博士と彼女のセオリー

Movie

機内放送で日本語吹替版を観た（吹替版しかなかった）。

本作でスティーヴン・ホーキング博士を演じたエディ・レッドメインがアカデミー賞主演男優賞を受賞したが、それも文句なしの優れた演技だった。しかし、映画としては高くは評価しない。

まず本作は、ホーキングと彼の元妻であるジェーン・ホーキングの関係を主眼とする映画で、二人の出会いから始まるのだが、とにかくこの二人がすっごくキュートでチャーミングなんだよ！エディ・レッドメインとフェリシティ・ジョーンズの二人は、まるでプリンスとプリンセスの組み合わせである。

しかし、ホーキングが筋萎縮性側索硬化症を発症してしまい、二人の試練が始まるのはご存知の通り。ジェーンは周囲の諌める声を押し切りホーキングと結婚し、子宝に恵まれるが（いや、これはすごいよな）、それでも小さな子供を抱えながら難病の夫を支え続けるのは大変な話である。

本作の欠点は、映画としてあまりに安易というか展開が読めること。ホーキング博士の伝記的知識に欠けるワタシですらチャーリー・コックスが出てきた瞬間に彼の役割が読めて、まったくその通りだったし、映画の中に一人の悪人も出てこないのもリアルさに欠ける。

何しろ存命中の大科学者を題材にするのだからあまりエグい描き方ができないのは分かる。ホーキングの研究についての十分な堀り下げを娯楽映画に求めることも間違っているのだろう。ホーキングのユーモアセンスはちゃんと描かれているが（それがときにジェーンの負担になったのも伝わる）、ジェーンの苦悩をもう少し掘り下げられたはずだ。

例えば、元々ホーキングは余命2年と宣告されたが、現実には（ご存知の通り）そうはならなかった。筋萎縮性側索硬化症という病気の性質を考えた場合、その宣告をした医者がヤブだったわけではなく、ホーキングの方が例外だと分かるのだが、2年で死ななかったからこそのジェーンの中での認識の齟齬というか、まだ生きてくれているという希望と、それと相反するいつまで続くんだという不安は描けたはずなのだ。

上にも書いたように、レッドメインとジョーンズの組み合わせがすっごくキュートで、それが見れただけでもワタシは満足である。映像も美しかった。しかし、本作は傑出した映画ではない。

2015-03-15

4chanの創始者mootが4chanの管理から引退の理由を激白

4chan's Overlord Christopher Poole Reveals Why He Walked Away | Rolling Stone

「アメリカの２ちゃんねる」とも言われる4chan だが（実際にはふたば☆ちゃんねる由来）、その創始者である moot こと Christopher Poole が今年はじめに 4chan の管理から引退したことはご存知の通りである。

で、その彼のインタビューが Rolling Stone に掲載されている。

11年続けた 4chan の管理からの引退は、昨年秋からの Gamergate 騒動（これについてはワタシも「邪悪なものが勝利する世界において」で触れている）、そしてそれに続くジェニファー・ローレンスなどのセレブのヌード画像流出騒動が原因だったらしい。

毎週毎週毎週新たな騒動が 4chan で持ち上がる感じで、これはもう手に負えないしストレスがかなわんということだろうが、こういう匿名掲示板はまともな神経の人間ではやっていけないのだろう。

Christopher Poole は昨年 4chan とは別のスタートアップが失敗に終わっており、昨年はあまり良い年ではなかったようだ。でも、まだ27歳なんだから未来はあるさ！

asin:B00QP3720C:detail

2015-03-15

村上春樹がポール・セローとメイド喫茶に行ったことがあるのはあまりにも有名（ホントか？）

メイド喫茶を見守る樹木のような - 村上さんのところ／村上春樹期間限定公式サイト

メイド喫茶によく通っているという質問者に対して、村上春樹が「一度だけ一緒に秋葉原まで｢見学」に行ったこと」があると書いているのに驚いている人がいるが、このあたりについては村上春樹も名前を挙げているポール・セローの『ゴースト・トレインは東の星へ』に書かれている……と知ったようなことを書いたが、日本で現在最高のブログである「荒野に向かって、吼えない…」で知った話だったりする。

さらに二人はメイドカフェへと移動する。「かしこまりました、旦那さま」と媚びへつらわれても、「私は何も感じないな」とつぶやくセローに、「ここは大したことはない。（……）でも、客の要求がもっと厳しい、もっと暗い店もあるよ」と返す春樹。なぜそんなことを知っているか……。と、このあたりは日本人としては笑っていいものやらなんなのやら。
荒野に向かって、吼えない… 村上春樹、メイドカフェに行く

これを読むと、村上春樹の「一度だけ一緒に秋葉原まで｢見学」に行った」という証言を疑いたくなるな（笑）。

侘び、寂び、萌え！