ワタシは Roxy Music の "Oh Yeah" が激烈に好きで、もう聴いていてとにかく音が気持ちいい。イッちゃいそうなくらい酔える曲で、歌詞もそれに拮抗する内容なのです。
『Manifesto』以降の後期ロキシーを、初期の実験性、アヴァンギャルドさが失われたと批判する向きがある。確かに後期の音楽性は、明らかに娯楽性に寄っている。通常、娯楽性が強くなるというのは、客を喜ばせんとする、早い話客に媚びる方向に行ったものが大半で、そういうのは実はすぐに飽きられる。
しかし、ロキシーが、いやフェリーさんが偉かったのは、これはかつてかの市川哲史も書いていたことだが、その娯楽性が実はフェリーさんのための娯楽性であり、何より一番気持ちよがっているのがフェリーさんだったことである。その変態性を貫いたからこそ、ロキシーは単なる AOR にならずに独特のヘンテコさを保てたのである。
それにしても『Manifesto』の "Dance Away"、『Flesh + Blood』の "Oh Yeah"、そして『Avalon』のタイトル曲の音の解放感、瑞々しさは、今聴いてもまったく色褪せていない。残念ながらロキシー解散後のフェリーさんの音には、この解放感が欠けている。
結論としては、いくらモリッシーが出ないからって、スミスのコピーバンドをフジロックの大トリにすえるスマッシュ日高社長は豪快クン過ぎる、ということだ。