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ウィキペディアの幹線道路ページの編集者が「出口ランプ」を目指した理由

slate.com

ウィキペディアで幹線道路(ハイウェイですね)についてページ情報をコツコツ貢献してきたウィキペディア編集者が、一部編集者に攻撃されて敵意に直面し(たと感じ)、ウィキペディアのハイウェイ愛好家たちがウィキペディアを離脱して、AARoads というサイト、並びに AARoads Wiki という Wiki を立ち上げるにいたったという話である。

「この一見愉快なオタク同士の衝突の背後には、20年にわたるウィキペディアの基本理念や価値観を、現状における需要といかに調和させるかというはるかに差し迫った問題がある」とこの記事は分析している。

そしてこの記事では、ウィキペディア編集者でも鉄道オタクと道路オタクの気質の違いについて書かれていて、鉄道オタクは公共交通機関に関する記事を充実させる傾向にあり、道路オタクは題材の即時性に惹かれる。また、アメリカでは車社会なので、鉄道よりも道路に惹かれる人のほうが多い。

そして、ウィキペディア執筆で重要な信頼できる情報源の解釈が、道路ページの編集で問題となった。ウィキペディアの道路オタク編集者が運輸局のページを情報源として使用しようとすると、これは一次資料(一次情報源)だからと他の編集者に拒否されてしまう傾向にあり、軋轢が生じた。

ウィキペディアの記述は新聞など信頼できる二次資料に基づくべきだというけれど、地方紙が弱体化してしまった現在、それを言ってたら他に情報源はほとんどないじゃないの、というのが道路ページ編集者だった人たちの言い分である。

政府機関からの情報をソースとしてはいけないというのは、例えば中国のような権威主義国家を考えればもちろん根拠がある話だし、独自研究禁止のポリシーも、疑似科学が入り込むのを防ぐ意味で重要なのは分かるが、道路ページ編集者たちの不満とは折り合わなかったようだ。

かくして AARoads Wikiウィキペディアから分離独立したわけだが、現状はウィキペディア英語版における道路ページのフォークがほとんどである。また、離脱先でもこのプロジェクトがハイウェイだけにフォーカスすべきか、もっと幅広く道路を網羅すべきか論争が起きているとのことだし、AARoads Wikiウィキペディアの両方に参加するユーザも残っており、一筋縄にはいかないようだ。

この記事は、「隣の芝は青い(The grass is always greener on the other side)」にかけて、「隣の舗道が平らとは限らない(The pavement isn’t always smoother on the other side)」という文で終わっている。

そういえば、日本では先ごろ「アニヲタWiki(仮)」に“怪しい広告”で騒動なんて話があったが、Wiki をめぐってトラブル(やフォーク)が起きるジャンルにもお国柄がありますな。

ネタ元は Boing Boing

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