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将棋のルールとGHQと升田幸三とコンピュータ

Misc. about Computer Science の「コンピュータが将棋を制する日」を読み思い出したのだが、チェスをはじめとして世界各地にあるらしい将棋的ゲームの中で、唯一日本の将棋だけが取った駒を使える「持ち駒ルール」があるそうだ。

そして、このルールのせいで太平洋戦争後、将棋が禁止されそうになったことがあるというと驚かれるだろうか。

月下の棋士』を読まれた方ならご存知だろうが、GHQ が将棋の持ち駒を使えるルールを捕虜虐待だと難癖をつけたのは本当の話である。

それに対して GHQ に呼び出しを受けた升田幸三が反論して難を逃れたのだが、そのやり取りについては、松岡正剛の千夜千冊『名人に香車を引いた男』に詳しいのでそちらを読んでください。今となっては、そのとき GHQ に対して堂々渡り合う升田幸三という無茶な人物が将棋界にいたのを感謝しないわけにいかない。分野は違うが、例えば当時 GHQ は按摩、鍼、灸といった東洋医療を禁止している。(囲碁のような国際性のない)将棋がその轍を踏まなかった保証はない。

そしてそれから半世紀以上経ち、将棋の持ち駒を使えるというルールが、コンピュータによる将棋というゲームの解析の前に立ちはだかっているというのも面白い話だと思う。

ただそれでも、コンピュータがプロ棋士を破るのも時間の問題というのだから、こちらの進歩もすごいのだけど。

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