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原稿を催促する人、締め切りを破る人

ちょうど仕事の関係で読んだ本に平林さんのエントリに対応する文章があったので紹介しておく。

本 (あたらしい教科書 2)

本 (あたらしい教科書 2)

↑を見ると『本』というタイトルの本のようだが(笑)、「あたらしい教科書」シリーズの一冊である。これにマガジンハウスの中島敏子という編集者の方が「原稿を待つということ」という文章を書いている(38-39ページ)。

そこには「日本が世界に誇る遅筆居士のひとり、伊藤ガビン氏」という表現があったりするわけだが、原稿の催促についての記述を引用する。

 催促faxに何を書くかは編集者のセンスが問われるところである。ただ「早く原稿ください!」だけでは著者の心に響かない。百戦錬磨の相手にいかに重い腰を上げさせるか。校正者にわざわざ代筆させて切迫感をあおったり、自分の家庭の危機を切々と訴えたり、人の心を動かす手練主管を学ぶ修行といえる。

平林さんの文章を読むと、この人の例は逆効果なようだ。ワタシにしてもそういう催促をくらったら、「で、それがどうかされまして?」と一言答えるかもしれない。もっともこれは当方が冷血漢だからだが。

なお、中島敏子はリリー・フランキーの担当もされていたようで、その苦労話も書いている。

事務所に行けない時は会社で悶々としながら達筆で流麗な手書き原稿のfaxを待っていたのだが、あまりの遅さに私の催促の文面もどんどん激化し、最後にA4の紙にデカい文字で「腐れ外道」と書いてfaxした紙は、その後何年もその編集部に保管されていた。

大変失礼なことを書かせてもらうと、この文章を読む限り、この人は優秀な編集者には見えない。

なおワタシの場合、締め切りを破るのは(例えば平林さんがそうであるように)才能のある人の権利であり、文才のない当方にはその権利はないと考えるので、少なくとも雑文仕事に関しては締め切りを遵守しており、催促メールをもらったこと自体ない。

もっともそれはワタシが引き受ける雑文仕事の絶対量が少ないからであり、またこの締め切り遵守というモットーに自分がひどく縛られているのを感じたので、これを当方の主義から外すことにする。

次に依頼を受けた原稿は、雑文、翻訳に限らず、必ず締め切りを破ります!(やっぱり縛られてるじゃん)

それはそうと、今日の画像も例によって Wikimedia Commons より。

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