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不思議の国のアリスとiPadとマルチメディアとHyperCardをつなぐ連想

iPadWalker.NET の「アリスが電子書籍の未来を感じさせてくれる「Alice for the iPad」」で知ったが、『不思議の国のアリス』の電子書籍デモが話題になっている。

最初すごく興奮した。でも……確かに面白いしすごいんだけど、こういうギミックってすぐに飽きるんじゃない?

そこでちょっと思い出したのは CloseBox and OpenPod の「iPhone、iPad、Android、Kindle――その元ネタはすべて15年前、日本にあった」にあった、1994年あたりにでていたCD-ROMのマルチメディアコンテンツが思いっきり通用するという感想で、iPadの長期的な成功にはHyperCardが必要という話で紹介した Dale Dougherty の The iPad needs its HyperCard でもiPad から(特にボイジャー社の)CD-ROM 製品のことを連想してたっけ。

ボイジャー、アリス、HyperCard といった単語でまた思い出したことがある。山形浩生による『鏡の国のアリス』の訳者あとがきである。

Web が普及してしまったせいでいまではかつてほどの輝きはないけれど、Voyager 社がマッキントッシュハイパーカードを使った expanded book を出しはじめたとき、まっさきに出たのはアリスの定番注釈書 Annoted Alice だったとか、確かプロジェクト・グーテンベルグ (http://promo.net/pg/) でも、アリスが最初期の登録作品の一つだとか、こういう電子っぽいプロジェクトになにかとかつぎ出されるのもこのアリスの特徴だ。Voyager のアリスの場合、ハイパーカード的な形式が、小説のありとあらゆる場所にマニアックな注釈がついて、という Annoted Alice の形式に実にうまくマッチしたものだったってこともある (逆にそれ以外のやつって、あんまりハイパーカードで読んでもおもしろくなかったんだよね。

どうもアリスは、こうしたものにかつぎ出される力を持っているようである。個人的には、上のデモのようなギミックより、HyperCard のようなユーザプログラミング環境のほうが長期的にみれば意味があるように思うのだけど、今のところ Apple にそのつもりはなさそうね。

さて、上の引用文で取り上げられている Annoted Alice の情報を得ようと検索したが、めぼしい情報がひっかからない。考えてみたら、The Annotated Alice の間違いじゃない、山形さん。

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