これを書いた後に、ワタシ自身以前にお世話になったことがあるボイジャーの鎌田社長から、この本の翻訳を手がけていることを教えてもらい、喜んでいた。
で、先月、「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2023年版)」を書いていたときにこの本について入れようかどうかと思っていたところに、タイミング良く邦訳刊行の情報が公開された。
億万長者の危険な生き残り思想を論じる本の邦訳は、イーロン・マスクの危険性が露になった2023年に求められているものだと、ゴールデンウィーク中に以下の文章を読んだときも切実に思いましたね。
ジェフ・ベゾス、リチャード・ブランソン、イーロン・マスクなどといった億万長者たちが宇宙征服とロケットの神秘という誇大妄想に取り憑かれた。星を征服するという妄想を中心に据えて、自分でロケットカルテルをつくり、地球を搾取する独自計画を立てている。大衆に空を眺めさせ、ナチスのV-2計画を率いたヴァルター・ドルンベルガーが「いにしえから伝わる夢」と呼んだ宇宙旅行や、火星ににぎやかな植民地をつくるというSFチックな妄想に夢中にさせていれば、誰もこの退屈な地球上で起こっていることに気づかない、とでも思っているのかもしれない。ピンチョンの描いた歴史が、現実になりつつある。
人類はいまだに、トマス・ピンチョンの『重力の虹』の下で生きている | WIRED.jp
訳者は『ネット社会を生きる10ヵ条』(asin:B0893HK8X9)、『チームヒューマン』(asin:B095NTWH43)に続いて堺屋七左衛門さんだ。ワオ!
電子版と紙版が6月末に同時発売されるが、両者で値段に差があるのにご注意ください。