オプラ・ウィンフリーは未だ日本での知名度は低いが、アメリカのエンターテイメント業界において絶大な力を持つ人で、特に彼女が番組の Book Club コーナーで紹介した本がベストセラーになることが多く、出版業界にも大きな影響力を持っていた。
その彼女が電子書籍を対象とする Oprah's Book Club 2.0 を始めたのをニコラス・カー先生のブログで知ったが、この文章の書き出しからしてカー先生らしさ炸裂である。
我々は ebook を本だと思っている。しかし、確かに ebook は本に関係したものではあるものの、それは本ではない。それは飽くまで ebook なのだ。そして我々は ebook が何なのかまだ分かっていない。我々もいくつか初期のヒントを得つつはあるけど。
そのヒントをオプラの Book Club 2.0 に見てるわけだが、カー先生が着目するのは、Book Club 2.0 ならではの機能である。この企画で、単にオプラは本を推薦するだけではない。Book Club 2.0 版 ebook には「O」のアイコンが本の中にあり(もちろんオプラのイニシャル)、それをクリックするとオプラのその文章についての解説がポップアップされる。
つまり、彼女は推薦する本の読みどころをダイレクトに読者に指し示し、強調できるわけだ。
これにより、同じ本、というか ebook のいろんなバージョンが簡単に出版できるようになる。いろんな有名人版の本がこれから出るようになるのではないかとカー先生は書くが、これが ebook ならではの売りになる可能性があるわけだが、「本は誰のものか?」という疑問が出てくるのも確か。こうしてみるとカー先生が Kindle Touch の X-Ray 技術に注目したのは慧眼だったと思うねぇ。