「シリコンヴァレー随一のヴィラン(悪役)でカリスマ」とは、ピーター・ティールにまさにぴったりなキャッチフレーズである、と彼をはっきり嫌いなワタシも認めざるをえない。
この記事でも紹介されているように昨年ピーター・ティールについて The Contrarian という本が書かれており、Facebook に最初期から投資し、取締役を務めながらマーク・ザッカーバーグと緊張状態にあったり、リバタリアンなのに監視技術を政府に売り込む(そのくせ監視 AI の危険性を訴えたりする)ような矛盾に満ちた興味深い人物像について分析がなされている。
これは『The Contrarian』からの抜粋だが、個人的に笑ったのは、ピーター・ティールとイーロン・マスクの両方と話をしたことのある人の簡潔な評言。
「イーロン・マスクはピーター・ティールをソシオパスだと思っていて、ピーター・ティールはイーロン・マスクを詐欺師の大口叩きだと思っている」
ピーター・ティールとイーロン・マスクのつながりというと、「ペイパル・マフィア」という言葉がまず浮かぶ。その面子については Wikipedia の項目を見ていただきたいが(この有名な写真にマスクがいないのは、当時ティールからペイパルを放逐されてたから?)、ティールやマスクの他にも後に YouTube、LinkedIn、Yelp といった錚々たるサービスを創業した人達を含んでいる。
今や世界でもっともリッチな人になり、ブイブイ言わせているイーロン・マスクは、実際ピーター・ティールとはどういう仲なんだという下世話なところもあるし、シリコンバレーを支配するリバタリアン精神を知る上でも、「ペイパル・マフィア」を総括する本が必要なんじゃないかなと思っていたら、「Paypal の物語とシリコンバレーを形作った起業家たち」という副題の The Founders というその需要を満たしそうな本が今月出るのを知った。
ウォルター・アイザックソンも推薦の言葉を寄せてますな。この本の著者は『クロード・シャノン 情報時代を発明した男』(asin:4480837205)の邦訳があるジミー・ソニか。
『The Contrarian』か『The Founders』のどっちか邦訳出るかねぇ。