2015年に書いた文章だが、その中で紹介した Frank Pasquale『The Black Box Society』の邦訳が、『ブラックボックス化する社会』として一昨年に刊行されていたのを『The CODE シリコンバレー全史』を読んでて今更知る。
誰か教えてよー、とまたしても思ってしまった。この本の反応を見ようと書名を Google 検索したのだが、今そうして検索しても上位10~20くらいが Amazon をはじめとする商業サイトばかりで、なかなか個人の感想に行きつかない……という話は、少し前に誰かはてな匿名ダイアリーあたりに書いてなかったか。
これすごく萎えるのですね。こういうことをネットに書くと、「書評」も検索語に入れたらと教えてもらえるのだが、この本の場合、それをやってもやはりほとんど行きつかなかった。版元の青土社はこの現状に満足しているのだろうか?
これは以前にも書いた話だが、洋書の邦訳が出る際には、その原書を取り上げた人間(例えば、『The Black Box Society』に関して言えば、ブログで何度か名前を挙げているワタシ)に一本メール連絡だけでもくれないものか。ワタシだったら、喜んで発売時に邦訳を取り上げるブログ記事書くのにね。
2015年に原書が出た本の邦訳が出たのが7年後、もちろん出ないより遥かに良いことである。この本が扱う「ブラックボックス化する社会」の問題が今もあるのは、たまたま先週読んだ山中伸弥と羽生善治の対談記事でもAIがもたらす「ブラックボックス問題」として語られており……というか、この記事は2018年に出た本からの抜粋なのか。
それはともかく、フランク・パスカーレの本では、この後に出たロボット・AI時代にその危険性と人間の専門技能の擁護を説く『New Laws of Robotics』の邦訳も期待したいところ。