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『On Lisp』刊行を記念してポール・グレアムを日本に呼ぶとよいのではないだろうか

既に各所で話題になっているが、Paul Graham『On Lisp』の野田開さん(id:flappphys)による邦訳が刊行される。

On Lisp

On Lisp

著者名がポール・グラハムになっているのは気に入らないが、オーム社らしい丁寧で細部まで目の行き届いた編集作業を経て作られているのだから内容的には文句なしに違いない。もっとも大学の Scheme の授業すら落第しかけたワタシがその真髄を理解できるかは甚だ疑問であるが……

それはともかくふと思うのだが、この機会を逃す手はないんじゃないだろうか。つまり、ポール・グレアムを日本に呼ぶチャンスということだ(『ハッカーと画家』の「日本版への序文」を読むと、来日経験はあるようだが)。

彼のように生粋の技術者にしてベンチャー企業を創業して成功させた人の話を多くの人が聞きたいのではないだろうか。何なら、Lisp 話と起業話を分けて講演してもらってもよいだろう。大学生、いや高校生にだって彼の話を聞いてもらいたい。

コードを書かない奴の御託はもうたくさんだ。

『コンサルタントの秘密』のワインバーグ先生のブログと木村泉先生の最終講義

今まで気づかなかったのは迂闊だが、『コンサルタントの秘密』などの著作で日本でもおなじみのジェラルド・M. ワインバーグは昨年から二つブログをやっているんだね。

両者とも著書からタイトルが採られており、前者は『コンサルタントの秘密』、後者は現時点での彼の最新刊。

Weinberg on Writing: The Fieldstone Method

Weinberg on Writing: The Fieldstone Method

タイトルから察するに文章術の本だろうか。どこか邦訳を出さないのかな?

そして『コンサルタントの秘密』の訳者であり、当方は今は亡き bit 誌における「さなげ山通信」でもいろいろ教えていただいた木村泉さんが、この春最終講義(リンク先 PDF ファイル)をされているのを知る。最終講義のテーマは、「みそさざいと寺田寅彦先生 ―実験家の芸を盗む法―」とのこと。「さなげ山通信」でも寺田寅彦についての文章がいくつかあったっけ。

木村泉先生、本当にお疲れ様でした。

100ドルPCのセキュリティアーキテクチャーは「革新的過ぎる」?

One Laptop Per Child (OLPC) プロジェクトというとニコラス・ネグロポンテが長年取り組んでいる、いわゆる100ドルPCのプロジェクトである。

ジミー・ウェールズがコミットすることをここでも取り上げていたっけ。ここで関係ないが、来日中の Jimbo Wales 近影。

話を戻してその OLPC には Bitfrost というセキュリティアーキテクチャーが採用されていて、WIRED News にも High Security for $100 Laptop という記事が書かれている。

ここでまた書いていて思い出した余談なのだが、聞くところによると HotWired Japan が復活するそうだ。ワオ!

また話を戻して Bitfrost だが、当方もいくつも文章を訳している Ed Felton らがこれを調査し、「革新的過ぎる」のではないかという疑問を呈している。

“Too innovative?” you ask. What’s wrong with innovation? Let me explain. Though tech pundits often praise “innovation” in the abstract, the fact is that most would-be innovations fail. In engineering, most new ideas either don’t work or aren’t really an improvement over the status quo. Sometimes the same “new” idea pops up over and over, reinvented each time by someone who doesn’t know about the idea’s past failures.

OLPC は主に発展途上国の子供たちに利用されるものだと理解しているが、彼らがどうとらえるかというのは正直ワタシのようなおっさんには分からない。実は子供たちにはイノベーティブでもなんでもなく、すんなり受け入れられると素晴らしいのだが。

スマートフォンのセキュリティを巡る10の危険な思い込み

Slashdot で知った記事だが、スマートフォンのように強力なモバイルデバイスが出てくるとなれば、やはりそのセキュリティについて気を遣わなければならないということで、気が休まらないねぇ。

  1. クールな機能のついた電話ってだけっしょ?
  2. 他の用途のアプライアンスと同様安定している
  3. 通信はエンドツーエンドで暗号化されている
  4. カフェで WiFi を使わなければ接続は安全
  5. 電子メールやメッセは覗き見から安全
  6. 携帯電話は帯域外通信を利用する
  7. 僕はスマートフォン上のデータやアプリの完全性(integrity)を信頼してる
  8. スマートフォンから削除された情報は消えるんよね?
  9. スマートフォンのスパイは難しい
  10. ネットワークや電話には制限がかかっているので悪用は最小限

気になった項目については原文をあたってくだされ。

『国富論』新訳刊行を機に調べてみた山形浩生の仕掛かったまま翻訳仕事一覧

日本経済新聞社よりアダム・スミスの古典『国富論』の新訳が刊行された。

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究 (下)

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究 (下)

新訳の意義については訳者である山岡洋一氏の文章を読んでいただくとして、ワタシがふと思ったのは、そういえば山形浩生も『国富論』をちょっと訳していたなということ。

山形浩生の場合、仕掛かったまま完結していない翻訳が他にもいくつもある。

国富論』や『資本論』がそうだが、原書の長さが半端でないのでちょっとやそっとで訳しきれないものが多いことは書いておかねばならないだろう。

山形浩生がどうでもよいようなネット喧嘩なぞをやっているのをみると、その時間を少しでも仕掛かり仕事に振り向けてくれないかと思わないでもないが、ワタシも少し翻訳をやる経験上、こういうのはいったん興味が他に移るとなかなか再度取り掛かる気にはなれないというのは容易に想像できるし、それにこの人に中年厨房であるなと望むのは土台無理な話なのだろう。

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