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第9地区

第9地区 Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)

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元々観に行くつもりはなかったが、自分の観測範囲で評判がよかったので映画館に足を運んだ。

ヨハネスブルク上空に突如宇宙船が出現、それに乗っていた異星人が「第9地区」に難民として隔離されてから20年以上、未だ地球を去ることができない異星人と人間の軋轢が増したため強制収容所である第10地区への異星人の移住が進められる。

南アフリカ共和国ヨハネスブルクが舞台であり、難民としての異星人ということは、本作が何の比喩であるかは明らか……とか言われるけど、ホントそうかい? いや、言いたいことは分かる。しかし、そういう構造にとらわれた退屈さ、説教臭さは本作にはない。

ただ本作のリアリティがヨハネスブルクという舞台設定に拠っていることは間違いなく、異星人たちを食い物にする悪辣なナイジェリア人、異星人(本作では一貫して「エビ」呼ばわりされる)の立ち退きを請け負う民間会社、そしてそれを支える傭兵、その責任者となった気の良さそうな、しかしナチュラルに異星人への差別感情をあらわにする主人公など基本設定がすごくうまい。

ワタシが本作を観て連想したのは(笑われそうだが)『アバター』である。何も映画としての問題意識が共通してるとか、本作が『アバター』の偽善性を……とか難しいことを言うつもりはなく、作品に登場する意匠に共通するものがあったというだけだが、はっきりいってワタシにとっては最新の映像技術の粋を極めた超大作『アバター』より『第9地区』のほうが映画としては面白かった! 本作がアカデミー賞作品賞にノミネートされたのは、今年から候補作が倍になったからなのだろうが、それでもアカデミーの人たちも分かってるじゃない。

もちろん本作にも弱点はいくつかあって、特に主人公を異変をもたらす液体が宇宙船を動かすのにも必要という設定は無理がある。このように肝になるところに穴があれば大抵冷めるものだが、本作は上記の舞台や登場人物の設定の巧さ、そして彼らがいきなり利他精神に目覚めちゃって英雄になろうなんてことはなくそれぞれ自分の都合にこだわるリアルさ、そしてもちろん、何度もベチョっと血が飛び散るアクションの魅力があり、ラストまで白熱しっぱなしだった。

映画館は結構カップルが多かったが、女性の方は『アバター』ミーツ『ザ・フライ』な本作を楽しめただろうか。繰り返すがワタシ的には『アバター』より面白い本作だが、ゴキブリなどが苦手な方にはかなりツライものがあるだろう。またワタシにしても、しばらくはエビと聞いても食欲が湧かないだろうし、当然、猫缶はカンベンな!

不思議の国のアリスとiPadとマルチメディアとHyperCardをつなぐ連想

iPadWalker.NET の「アリスが電子書籍の未来を感じさせてくれる「Alice for the iPad」」で知ったが、『不思議の国のアリス』の電子書籍デモが話題になっている。

最初すごく興奮した。でも……確かに面白いしすごいんだけど、こういうギミックってすぐに飽きるんじゃない?

そこでちょっと思い出したのは CloseBox and OpenPod の「iPhone、iPad、Android、Kindle――その元ネタはすべて15年前、日本にあった」にあった、1994年あたりにでていたCD-ROMのマルチメディアコンテンツが思いっきり通用するという感想で、iPadの長期的な成功にはHyperCardが必要という話で紹介した Dale Dougherty の The iPad needs its HyperCard でもiPad から(特にボイジャー社の)CD-ROM 製品のことを連想してたっけ。

ボイジャー、アリス、HyperCard といった単語でまた思い出したことがある。山形浩生による『鏡の国のアリス』の訳者あとがきである。

Web が普及してしまったせいでいまではかつてほどの輝きはないけれど、Voyager 社がマッキントッシュハイパーカードを使った expanded book を出しはじめたとき、まっさきに出たのはアリスの定番注釈書 Annoted Alice だったとか、確かプロジェクト・グーテンベルグ (http://promo.net/pg/) でも、アリスが最初期の登録作品の一つだとか、こういう電子っぽいプロジェクトになにかとかつぎ出されるのもこのアリスの特徴だ。Voyager のアリスの場合、ハイパーカード的な形式が、小説のありとあらゆる場所にマニアックな注釈がついて、という Annoted Alice の形式に実にうまくマッチしたものだったってこともある (逆にそれ以外のやつって、あんまりハイパーカードで読んでもおもしろくなかったんだよね。

どうもアリスは、こうしたものにかつぎ出される力を持っているようである。個人的には、上のデモのようなギミックより、HyperCard のようなユーザプログラミング環境のほうが長期的にみれば意味があるように思うのだけど、今のところ Apple にそのつもりはなさそうね。

さて、上の引用文で取り上げられている Annoted Alice の情報を得ようと検索したが、めぼしい情報がひっかからない。考えてみたら、The Annotated Alice の間違いじゃない、山形さん。

ソフトウェア特許の弊害を説く映画『Patent Absurdity』がウェブ公開

opensource.com で知ったのだが、ビジネスモデル特許ソフトウェア特許の弊害、不条理を説く Patent Absurdity - How software patents broke the system というドキュメンタリー映画を知る。

screenshot

この映画が主な題材としているのは google:Bilski v. Kappos 事件で、スポンサーがフリーソフトウェア財団なのでどういう論旨かはおおよそ想像つくと思う。

FSF といえばこの人というべき Richard M. Stallman や Eben Moglen をはじめ、VisiCalc の作者として知られる Dan Bricklin などが出演している。

映画としては30分ほどで、ウェブサイト上で視聴もできるし、ダウンロードも可能。クリエイティブ・コモンズなのはありがたいのだけど、表示-改変禁止 3.0 ライセンスのため、勝手に字幕をつけて公開できないね。

「つまらない」という言葉の背後にあるべき覚悟

34歳になった(おめでとうございます)鈴木謙介さんによる「「つまらない」はいい感情」を読み、思い出した文章がある。小林秀雄の「青年と老年」である(『考えるヒント』収録)。

「つまらん」と言うのが、亡くなった正宗さんの口癖であった。「つまらん、つまらん」と言いながら、何故、ああ小まめに、飽きもせず、物を読んだり、物を見に出向いたりするのだろういぶかる人があった。しかし、「つまらん」と言うのは「面白いものはないか」と問う事であろう。正宗さんという人は、死ぬまでそう問いつづけた人なので、老いていよいよ「面白いもの」に関してぜいたくになった人なのである。

正宗さんというのは言うまでもなく正宗白鳥のこと。

鈴木さんが書くように、「つまらない」「つまらん」といった言葉には、「変えなくてもいいと思っている人たちを傷つけ、否定することになる」副作用がある。それでも「つまらない」と言うからには、絶えず「面白いものはないか」と問い続け前進する覚悟を持たないといけないのだろう。

新装版 考えるヒント (文春文庫)

新装版 考えるヒント (文春文庫)

はてなツールバー for Firefoxは今年中にバージョンアップするのか?

ワタシははてなツールバー for Firefox のユーザだが、いつまでたってもバージョンアップしないため、Firefox をバージョン3.6にあげられない。

いや、もちろん無理やりアドオンが無効にならないようにする方法は知っている。しかし、そんなことしなくても直に正式公開されるはずと高を括っていたらこのザマである。

既にはてなアイデアにも今年のはじめから複数この要望があがっている。

一番上のアイデアが「検討中」ステータスになって3ヶ月近くになるんだね。

はてなアイデアがユーザから意見収集の場として機能していないのは今はじまった話ではないが、いい加減にしろよと言いたくなる。

こう書くのには理由がある。はてなは、はてなブックマーク×Firefox 3.6プレゼントキャンペーンを行っている。「Firefox3.6促進キャンペーンをするのにはてなツールバーFirefox版のFirefox3.6対応が行われてないってどうなんだろう」と思うのが普通の感覚ではないか?

いい加減ワタシも頭にきて、伊藤直也CTO(id:naoya)に直訴させてもらった。

@naoya_ito hatenabar for Firefoxのこともたまには思い出してあげてください

http://twitter.com/yomoyomo/status/11617019501

それに対し、以下の回答があった。

すいません、がんばります! RT: @yomoyomo: @naoya_ito hatenabar for Firefoxのこともたまには思い出してあげてください

http://twitter.com/naoya_ito/status/11618427721

ちょうど同じ日に岡田育子女史(id:okadaic)が同じ点について不満をもらしていた。

新サービス「はてなモノリス」もいいけど、ツールバー for Firefoxのバージョンアップをずっと待ってる。こんなに不便だと失って初めて気づくありがたさ。 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1004/05/news015.html

http://twitter.com/okadaic/status/11622001943

@okadaic ワタシもいい加減頭に来て伊藤直也さんに直訴したら、がんばりますというコメントをもらったので、今年中にはバージョンアップするでしょう

http://twitter.com/yomoyomo/status/11622498196

よかった、「今年中」と書いておいて! 今月中だったら危ないところだった! 現に上記のやりとりがあってから半月近く経つのに音沙汰なしだしね!

そういえば、伊藤直也さんが Twitter 上で海部美知さんのはてなダイアリーに対する不満を熱心に聞き取りしているのをみて微笑ましくなった。ワタシも子供ではないので、アルファブロガーには率先して御用伺いもするが、木っ端ユーザの要望がいくつはてなアイデアに上がろうがハナにもかけないというのも一つの見識として認めるのはやぶさかではない。でも、そんなに開発リソースが足りてないなら、ツールバー for Firefox の公開自体止めたらいいのに。

最後に同じ不満を持っている人たちへのもう一つの暫定的な解決策を示しておくと、(多分何のアナウンスもなく)「実験的なアドオン」としてバージョン 0.6.1が公開されているので、これを試してみるのもよいだろう(ワタシは試していません)。

[4月20日追記]Firefox 3.6 に対応したバージョン 0.6.1 が正式公開されている。

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