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『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』URL一覧への追加

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』について、文中に出てくるリンクを各章ごとにまとめたURL一覧を公開しているが、これにボーナストラックの長編エッセイ「グッドバイ・ルック」についても同様に URL を(末尾に)追加させてもらった。

これには少し説明が必要である。

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』に収録された文章は、ウェブメディアでの連載を元にしており、その元文章にはウェブの他のリソースを豊富に参照している。だから URL 一覧を作成したわけだが、ボーナストラックである「グッドバイ・ルック」は、実は文中一切リンクをしていない。

お気づきの人がいるかは分からないが、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』を公開するにあたり、ワタシはそれにボーナストラックの長編エッセイ「グッドバイ・ルック」を収録していることは明かしているが、その内容について一切書いていない。これから書くこともないと思う。

その理由は、一つにはこの本を順路に従い先入観なく読んだ人に衝撃を与えることもあるのだが、それ以外の理由についても実際に「グッドバイ・ルック」を読まれた人なら分かってくれると思う。

しかし、それでは本を買ってない人には何も伝わらない。この文章については、「これだけでお金を払っても良いくらい」などありがたい感想をいただいているが、感想を書いている方も皆「ネタバレ」にあたることは書かないでいてくれている。実は、それを刊行前にワタシはかなり気にしていたのでこれもありがたかったのだが、やはりその内容が未読の人に伝わらないという問題は残っている。

前述の通り、「グッドバイ・ルック」は、文中一切リンクをしていない、というか縦書き(!)の文章なのだが、もし他の文章のようにリンクをはるとしたらと想定し、リンク一覧を追加してみた。

「グッドバイ・ルック」は全部で21の章からなり、その中には2つインターミッションにあたる章があるのだが、今回のリンク一覧追加で、そのインターミッションにあたる章の内容は大体分かることになる。それ以外の本編にあたる章についてはあまりそうではないのだが、それは仕方がない。

基本的には Amazon リンクが主だが、「グッドバイ・ルック」に出てくる時系列に沿ったリンクになっている。つまりは、現在は文庫本や新版が出ている本でも、この文章に書かれた時点で単行本であれば、そちらをリンクしている。

JavaScriptの生みの親ブレンダン・アイクが語る「壊れてしまったウェブの正し方」

JavaScript の生みの親として知られ、Mozilla の CEO にもなったものの残念な経緯でその座を降りた後は、Brave を起業してまたブラウザソフトウェアの開発を手がけているブレンダン・アイクのインタビュー音声が公開されている。

その内容が『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』にも重なるものがあったので、要点を日本語に訳しておく。

  • 壊れてしまったウェブを正す:監視資本主義(surveillance capitalism)が大手を振り、消費者はプライバシーやデータのやり取りに疲弊している
  • サードパーティの広告モデルの破壊:インターネットとテレビの広告が融合するところに大きな破壊が起こりつつある。我々はより多くのコンテンツをサポートする新たな手段を見つける必要がある。
  • 暗号通貨と脱中央集権化(decentralization)の受け入れ:我々のシステム(Brave)は最終的には分権化することになる。
  • 消費者は広告システムにオプトインできるべきだし、企業はプライバシーバイデザインを受け入れなくてはならない。
  • オープンソースは企業にとって手持ちの掛け金だ:ブロックチェーンの大きな価値は、コードがオープンソースであり、その台帳がすべてオープンで公開されており、監査可能であることにある。
  • ユーザの興味と合致する企業を作る
  • ブラウザ戦争は終わっていない:Chrome などのブラウザが広告企業の手にある世界では、新たなブラウザが必要だ。

ブレンダン・アイクの現在のウェブは壊れてしまった、それを正すには脱中央集権化(decentralization)が必要だし、それを実現するバックにはブロックチェーン技術が有望という認識は、もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについてに書いた話と共通する。彼が手がける Brave ブラウザがインパクトをもたらすシェアを獲得できるかは分からないけど。

あと彼も監視資本主義(surveillance capitalism)という言葉を使っているが、ワタシが最初にこの言葉を見たのはニコラス・カー先生の文章だったかな。今では Wikipedia に項目ができている

Tug of War: Surveillance Capitalism, Military Contracting, and the Rise of the Security State (Carleton Library)

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The Age of Surveillance Capitalism: The Fight for a Human Future at the New Frontier of Power

The Age of Surveillance Capitalism: The Fight for a Human Future at the New Frontier of Power

「モノのインターネット」は「ゴミのインターネット(Internet of Trash)」という問題を生み出す?

ちゃんとした見識や考慮なしに「モノのインターネット(IoT)」というバズワードに乗っかるばかりでは、古くなってネットにつながらなくなり、適切な廃棄する手段もないゴミの山を残すことになるよ、と警告する文章である。

今、IoT 対応家電とかいって売られている製品で、10年後もセキュリティを保ちながら適切にネットにつながるものがどれくらいあるかと言われるとかなり怪しいのが素人目に明らかで、これは確かに考慮に値する問題である。

それとは違うが、『Owned: Property, Privacy, and the New Digital Serfdom』(asin:1316612201)の著者である Joshua A.T. Fairfield が、IoT のセキュリティとプライバシー、それと密接に関わる「所有権」の問題について、これは封建制の復活であり、IoT は我々を中世に逆戻りさせるぞと怖いことを書いていたのを思い出したりした。

まぁ、Internet of Things にひっかけた「ゴミのインターネット(Internet of Trash)」、E-Waste といった言葉遣いがうまいのだけど、それよりも個人的にこの IEEE Spectrum 記事の冒頭で引き合いに出されているのが、孫正義の「これからの20年で、1兆ものデバイスが世界中並びに衛星上にネット接続する」という発言なのにちょっと驚いた。彼の名前もこういう文章で引き合いに出されるくらい世界的に知られる存在ということなんだよね。

ネタ元は Slashdot

IoTの基本・仕組み・重要事項が全部わかる教科書

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孫正義 300年王国への野望

孫正義 300年王国への野望

SF映画からテクノロジーと社会の未来を考える本が面白そうだ

以前、人気SF映画の設定を科学的に検証する『Science(ish)』という本が面白そう(だし、今年後半に邦訳が出そう)という話を書いたとき、こういう本は日本にはないねみたいに書いちゃったのだが、鈴木貴之の新刊『100年後の世界 SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来』を知り、これは近いのではないかと思った次第である。

100年後の世界―SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来 (DOJIN選書)

100年後の世界―SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来 (DOJIN選書)

こちらは SF 映画の設定を科学的に検証するよりも、もっと哲学的にとらえる本だと思うが、来月頭には刊行記念トークセッション内田麻理香さん(id:kasoken)と行うようである。

マイケル・ペイリンの久々の本格的な映画出演となる『The Death of Stalin』が『スターリンの葬送狂騒曲』の邦題で8月公開とな

ちゃんと日本で公開されるか不安だった『The Death of Stalin』だが、『スターリンの葬送狂騒曲』の邦題で8月に公開されるとのこと。

個人的には、なんといってもモンティ・パイソンマイケル・ペイリンが、ヴャチェスラフ・モロトフ役で、久々の本格的な映画出演をしていること。

マイケルは2006年に旅行番組以外のテレビ、映画からの引退を表明しており、ただその後も単発のテレビドラマに出ているのだが、声優などを除く本格的な映画出演となると、盟友テリー・ジョーンズの監督作『たのしい川べ』以来、実に20年以上ぶり(!)になる。

今回、邦題がモンティ・パイソンの『人生狂騒曲』を思わせる『スターリンの葬送狂騒曲』ということで、おっ、分かってるね! と嬉しくなったのだが、予告編を観たら、マイケルの名前が「マイケル・パリン」と表記されており、ちょっとがっかりした。別にパイソンを知る人が邦題決めたわけではなさそうだ。

ともかくマイケルが面白いコメディ映画に出ているというだけで嬉しいので、是非観に行きたい。

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