著者のサイトにまとめてアップロードされている。今一気に読むと、いささか自家中毒ぎみな(ワタシの勝手な印象)サイゾー連載に比べ、トピカルな話題をすっきりと扱っているように思う。そういえば、「著作権の「危機」って何だ」は、主要メディアに掲載された、輸入権問題を扱った最初の文章ではなかったか。
連載時には、朝日新聞も「自由には必ず責任伴う」をはじめとした狂犬山形浩生の controversial な文章を許容することでいくらか変わろうとしているのかと思ったものだが、冒頭の担当編集者のトホホな実態を読むと、それが単なる買いかぶりだったことが分かる。
ただ最終回である「天下りは悪くないかも」にはやはり賛同できない。天下りに「公共側に役人を踏みとどまらせるニンジン」効果があるというのはその通りだが、公務員の職務内容に応じた給与水準の底上げ、そして著者も書く恩給制度という正攻法のニンジンが先に徹底して論じられるべきだろうに。
最後に書いている年寄りをもっと働かせるための方策という方向性は確かに有望だが、「年寄りは保守的で頑固とされているけれど、やり方次第では(どうせ先は短いんだし)結構大胆なばくちを打てるようになるんじゃないか」というのは根拠が薄すぎる。そうなる余地があるなら、ここまで天下りが問題視されることもなかろうし、それにそういう「大胆なばくち」こそ、年寄りの天下り役人ではなく、ちゃんと責任の取れる地位にある働き盛りの人間がやるべきじゃないのか。