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牛丼の恨みを忘れるな!

今日は技術系の話は一切ナシ。

さて、タイトルは何の話かと思われるだろうが、将棋界の話である。

「将棋の消費について」には入れなかったが、『大山康晴の晩節』に面白い逸話があったので紹介しておく。

昔、将棋の名人戦朝日新聞社が主催していた。これが昭和50年代に毎日新聞社に移り現在に至るのだが、そのあたりのアレコレも面白いのだが詳細は省くとして、その騒動があったとき、反朝日派の若手棋士が「牛丼の恨みを忘れるな」を合言葉にしていたというのだ。

かつて名人戦の第一局は渋谷の羽沢ガーデンで行なわれるのが通例で、記録係や連絡係を務める奨励会員は、当時羽沢ガーデンが売り物にしていたしゃぶしゃぶなど美味しい料理にありつけるのを楽しみにしていた。

だが、ある時期から朝日新聞の将棋担当記者は奨励会員を見下し、前夜祭に彼らを宴会場から締め出して、女中部屋のようなところで牛丼をあてがったという。奨励会員の多くがそれに大変な屈辱を感じたのは言うまでもない。

朝日新聞嫌いの当方としては、「さすがは朝日新聞、社員に権威主義が行き渡ってますな!」と皮肉の一つでも言いたいところだが、考えてみれば名人戦の記録係を務める奨励会員の多くはプロ棋士の卵の中でもエリートに属する人たちで、後に結構な割合でプロ棋士となるのは誰でも分かる理屈である。朝日新聞の体質がどうこうというより、単にその将棋担当者が目先の利かない馬鹿だっただけかもしれない。

名人戦の主催という将棋界の一大問題を決める段になって過去の恨みを忘れない棋士の幼児性を見ることもできるが、なにより食い物の恨みは恐ろしいということだろう。

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