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新聞のデジタル版購読先を朝日新聞から毎日新聞に乗り換え(られなかっ)た話

まあ何事もちゃんとトレーニングしなければダメで、将棋ならたとえば詰将棋を相当コンスタントにこなさないと強くはなれないのだが、強くなったところでyomoyomoさんのように性格がひん曲がって寂しい人生を送るのがオチなので、暇つぶしと割り切って楽しくやっている。

Masayuki Hatta a.k.a. mhatta | すぐ勝てる!急戦矢倉 / 及川拓馬

すいません、上の引用は以下の内容に(あまり)関係ありません。

digital.asahi.com

srad.jp

今年の6月に、朝日新聞デジタル版のサービス内容変更の告知があった。

ワタシは紙の新聞は長らくどこもとっていないが、デジタル版は朝日新聞を購読しており、まさにサービス変更の対象となるシンプルコースの加入者だった。

これまでは月300本、だいたい1日10本の記事を閲覧可能で、気分的には読み放題というか、少なくともこれまで制約を感じたことは一度もなかった。それが月50本、1日あたり2本未満に減るのだから、壮絶なサービス内容改悪である。1日2本で済む人が元から月額980円の有料会員になっているか疑問だし、将棋ファンのワタシは毎日将棋欄で1本枠を使っているので、それを除けば変更後は読める記事は1日あたり1本未満になってしまう!

朝日新聞デジタル版には、昔も無料会員が読める本数が激減するサービス改悪をやられた恨みがあるが、あのときは無料会員なんだから文句は言えないと諦めがついた。しかし、今回は正規の有料会員へのサービス提供枠を6分の1にするのだからベラボウな話である。

この発表の少し前には、朝日新聞社3月期決算、11年ぶり赤字というニュースもあり、経営の厳しさを反映した改定なのは容易に想像がつく。実際、紙版の購読料値上げの発表も続いたが、そういうことだろう。

ワタシは昔から朝日新聞嫌いを公言している人間だが、なんでそのデジタル版に課金しているかというと、単に日本の新聞社のデジタル版サービスの中で一番リーズナブルに思えたから。実はこの時点で間違っていたのだが、それついてはここでは置く。要はワタシがケチの貧乏人だからと思っていただければよい。

なお、アメリカの新聞社では New York Times のデジタル版も購読していて、通常は週2ドルのはずが、75%オフの週0.5ドルの割引価格が常態化しており、ワタシもそれで加入したので、こちらはおよそ月2ドルの料金になる。世界中に購読者を見込める英語圏の新聞社と日本のそれを単純比較するのが酷なのは承知しているが、片やおよそ月2ドルで過去記事含めあらゆる記事にアクセスできるのを思えば、月額980円で月50本の制限はあまりにもお粗末に思える。

朝日新聞のデジタル版でも、スタンダードコースに乗り換えれば、文字通り無制限に記事を読めるようになる。しかし、それには月額1980円と現在の倍の料金になる。さすがに単に値段倍ではまずいと思ったか、スタンダードコースなら連載フォローやレコメンドといった新たな機能も使えると謳っている。が、ワタシはデジタル版をパソコンのブラウザからしか見ない人間なので(スマートフォンには朝日新聞のアプリもインストールしていない)、現状の使い方のままではそれらは乗り換えの訴求ポイントにはならない。

yomoyomoは激怒した。必ず、かのぼったくりの朝日新聞を除かなければならぬと決意した。yomoyomoには新聞経営がわからぬ。yomoyomoは、工場のライン工である……かはともかくとして、いくらなんでも客の足元見すぎだろう。こんなアコギな値上げには、サービス解約で抗議の意思を示す必要があると決意した。

しかし、朝日新聞のデジタル版のサービス内容自体には実は文句はなかった。ちゃんと新聞社の有料サービスを購読し、いろんな記事を読む利点は日々実感していた。今回の実質値上げにしても、元が安すぎたからやむなしという意見があるのは理解する。

さて、朝日新聞のデジタル版を解約するとして、同じくらいの値段でデジタル版を購読できる他の新聞社はあるかという話になるが、毎日新聞デジタルのスタンダードプランが月額980円で、朝日新聞デジタル版のシンプルコース(改めベーシックコース)と同額なので、受け皿になりそうだ。

毎日新聞デジタル版のスタンダードプランは記事閲覧無制限だし、ウォール・ストリート・ジャーナルとの提携もある。そして、個人的には一つ大きな利点があった。将棋の名人戦である。

これを米長邦雄永世棋聖の功績とは言えないだろうが、現在、将棋名人戦朝日新聞社毎日新聞社の共催である。それにより、将棋名人戦並びにその名人戦への挑戦者を決めるA級順位戦の観戦記は朝日新聞毎日新聞のいずれでも読める。将棋欄の内容に差異がないというのがワタシ的にはかなりでかかった(伏線)。

もちろん失われるものもある。朝日新聞のデジタル版で愛読していた連載、具体的には三谷幸喜のありふれた生活ブレイディみかこさんの「欧州季評」平民金子さんの「神戸の、その向こう」、他にも柳下毅一郎さんの映画評も読めなくなる。

そういうのを考え出すと気持ちが揺れもした。何度もここに書いている通り、ワタシは病的なものぐさで、こういう購読サービスひとつ変えるのも億劫な人間なのである。そもそも毎日新聞に対して特に好意的ではない。というか、過去の『ネット君臨』(asin:4620318361)や毎日デイリーニューズWaiWai問題などで、はっきりマイナスイメージもあった。

しかし、それも10年以上前の話である。周りで毎日新聞デジタルを購読する人に聞いても特に悪評はなかった。朝日新聞デジタル版の購読コース名と内容が変わる9月8日の近くまで悩んだが、ここは決断のときと毎日新聞デジタルに加入した。そこでケチの血が騒いで、少しでもお得にと、月あたり700円になる12か月コースを選択した。

これでむしろ出費を減らして新聞のデジタル版を無制限に読めるようになったわけだ。心機一転、ざまぁみろ朝日新聞

……で話は終わらなかったのである。

今のところ毎日新聞デジタルの大部分のサービス内容に不満はない。まぁ、こんなものでしょうという感じである。そのうち、毎日新聞ならではの面白い連載なども見つけるだろう(おススメのコンテンツをご存知の方は教えてください)。

しかし……ワタシ的にとても大きな落とし穴があった。将棋欄である。

これは手っ取り早く朝日新聞毎日新聞両方のデジタル版の将棋欄を画像で見ていただこう(正直意味ないとは思うが、棋譜部分は少し網掛けさせてもらった)。

まずは朝日新聞の将棋欄だが、棋戦名などが入った記事タイトル、対局者の名前と先後、局面図、棋譜、そして観戦記が続く。局面図はその日のはじまりの場面と終わりの場面の二つが見れる。内容的に紙の新聞の将棋欄と変わりがない。というか、これ以外の形式の将棋欄があるとは思わなかった。

続いて毎日新聞の将棋欄である。ある一点を除いて内容的には朝日新聞とだいたい変わりない。そう、局面図がない。その一点が致命的なのだ。棋譜だけ載ってても、その始まりの場面も、またその日の棋譜でどの場面まで行ったのか分からないのだから、これでは新聞の将棋欄の意味をなしてないだろうが!

何かワタシが見ているものがおかしいのかと思ったのだが、毎日新聞デジタルの将棋記事は、日々の将棋欄に限らず、どうもすべて「局面図」が省かれている。それでいて記事中には普通に指し手の記述があるのだから呆然となってしまう。これ……将棋ファンの読者から抗議はないのだろうか? それともデジタル版で将棋欄を見ている人間など全国で10人足らずなんだろうか?

そんなわけはなかろうが、なんかこれでワタシは一気に気持ちが萎えてしまった。今のところ他でこういう萎えポイントには行き当たってないが、他にもデジタル版が平気で粗末にされているところがないとも限らないではないか。

(一応言い訳しておくと、朝日新聞デジタル版の将棋欄は無料会員でも上掲画像の局面図と棋譜までは見れる。毎日新聞デジタル版の将棋欄は観戦記の最初の段落まで見れる。その下の有料部分に当然局面図があるに違いないと思い込んでいた。購読前には、この問題は分からなかったのだ)

将棋重視というワタシのニッチな嗜好が災いしてしまった形だが、これが月単位での購読だったらひと月で解約していただろう。しかし、既に年払い契約してしまっている。

不幸中の幸いと言えるかは知らないが、朝日新聞デジタル版の料金支払いがワタシの場合月末のため、9月8日前に解約せずに放置していた。現コースの月980円を払い続ければ、将棋のA級順位戦名人戦の観戦記は読める。将棋欄で1日1本、あと上で挙げた連載など個別記事を読むのに枠を使えばよいとも言える。しかし、それで毎日新聞デジタル版にもお金を払うなら、はじめから朝日新聞デジタル版でスタンダードコースに乗り換えたほうがすっきりしたじゃないか!

実際には、毎日新聞デジタル版は年払いなので、単に朝日新聞デジタル版でスタンダードコースに乗り換えるよりも出費自体は少なくて済んでいる。しかし、個人的な話になるが、先月ぐらいからネット通販での買い物で失敗のやらかしが続いたのもあって、今回の一件はその内実以上に凹んでしまったところがある。

さて、ここまでの話にもいろいろツッコミどころはあるだろう。普段はこの手の失敗話は書かないのだが、ワタシもそれなりに「パソコンの先生」というか「ネットにいっぱしに詳しい」と自負していたのが、上にも書いた今回の件を含む失敗続きで、ああ、こうして年寄りは苦手意識を増幅させていくのだな、と悟ったところがあり、他の人に何かの教訓となるかも思い、恥を忍んで書かせてもらった。

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