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将棋と文学研究会が気になる

将棋と日本文学の関係について幅広い観点から明らかにしていくことを目指す将棋と文学研究会なるものがあるのを今さら知った。来年1月5日、6日に「将棋と文学シンポジウム」を開催するとのこと。

第159回芥川龍之介賞を受賞した高橋弘希のインタビュー「小説と将棋は似ているかもしれない」あたりがシンポジウムの一つの起点なのかなと思うが、高橋弘希の対談参加も予定されている。

将棋と文学の関わりというと、昔は作家の多くが将棋の観戦記を書き、実際新聞の将棋欄も今よりずっとスペースがあったため健筆を奮い――という話が個人的にはまず浮かぶ。今でも新聞の将棋欄で作家がタイトル戦の観戦記を書くことはそれほど珍しくないが、昔は山口瞳名人戦の第一局の観戦記を書くことが通例だったわけで、そこまで将棋界に深く関わる作家は現在いない。

ここで横道にそれるが、河口俊彦老師に一度だけお目にかかった際、米長邦雄名人戦に初めて挑戦者になったとき、山口瞳の観戦を一度拒否した理由について、『血涙十番勝負』を読んでも山口瞳が米長のことを大いに買っていることは明らかで(それにこの本の文庫解説を書いているのは米長なのだ)、そのあたりについて米長の説明を読んでも理由がよく分からないという話をワタシがして、老師にそのあたり解説していただいたことがある。

将棋と文学研究会もそうした将棋界と文人の関わりの話もカバーするのだろうが、カバーする内容はそれにとどまらない。

シンポジウムで配布予定の論集『将棋と文学スタディーズ』の目次・巻頭言「文学と将棋は似ているか?」(pdf)と小谷瑛輔「日本の近代小説は将棋から始まった?」(pdf)が公開されていて、後者の大それたタイトルに最初のけぞったが、東京朝日新聞が将棋の棋譜を初めて掲載した日は、夏目漱石が『彼岸過迄』を連載するにあたり、漱石の挨拶(序文)が掲載された日でもあり、それだけでなく両者は同じページの上二段を占めるように掲載されたなんて知らなかったな。後半の坂口安吾に関する話も、安吾ファンとしては嬉しかった。

ワタシは地方在住のためシンポジウムに参加できないのは残念なのだが。

送り火

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