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トーキング・ヘッズの映画『ストップ・メイキング・センス』をYouTubeを使って解説してみる

これまでAmazon980円劇場で二度 Talking Heads を取り上げており(その1その2)、何度か彼らの映画『Stop Making Sense』の素晴らしさについて書いたことがある。しかし、言葉で音楽と映像を説明するのは難しい。映像をあわせて解説できたら楽なのにと思っていた。

ご存知のように今では YouTube というものがあり、それが可能になったわけである。これへの対応に苦慮するテレビ局がある一方で、こぶしを下ろし握手をするテレビ局もあり、いろいろと過渡期なのは間違いないが、マーケティング活用の大きな可能性があるのも確かだろう。

調べてみると、『Stop Making Sense』の DVD も廉価版が先月末リリースされている(ジャケットは以前のほうが好み)。

ストップ・メイキング・センス(ニュージャケットバージョン) [DVD]

ストップ・メイキング・センス(ニュージャケットバージョン) [DVD]

良いタイミングだと思うし、今となっては Talking Heads といっても映像を観たことのない人のほうが多いだろうから、この映画の映像を観ながら DVD の宣伝をさせてもらおう。

そんなのに付き合ってられないという忙しい人は、この映画の公開15周年時に作られた Trailer だけでも観てくだされ。

ティナ・ウェイマスの土着ダンスが愛らしい。一番最後に出たオリジナルのタイトルデザインを見てピンと来た方もいるかもしれない。キューブリックの『博士の異常な愛情』(asin:B000ALVY5E)などのタイトルデザインでもおなじみ Pablo Ferro の仕事である。

1984年に公開されたこの映画は、もっとも脂が乗っていた時期のトーキング・ヘッズのライブをおさめたもので、ジョナサン・デミが監督を務めている。

ジョナサン・デミというと何といっても『羊たちの沈黙』(asin:B000A0K5LE)の巨匠なわけだが、『羊たちの沈黙』を撮るまでも、この映画や New Order の "The Perfect Kiss" のビデオなどでロックファンには知られていた。"The Perfect Kiss" のビデオが顕著だが、ミュージシャンを生々しい映像で撮ることに長けた人で、その長所はこの映画でも遺憾なく発揮されている。

ストップ・メイキング・センス』はロックバンド単体の映画としては異例な成功をおさめた。黒子さんをうまく使った演出の妙もあるが、何よりバンドの優れた演奏を、一流のスタッフがしっかりとしたカメラワークでおさめたからである。

とはいえ、デヴィッド・バーンが何もないステージで、ギターとリズムボックスだけで "Psycho Killler" の弾き語りをするオープニングを始めて観たときは、すごく興奮したな。

空っぽなステージでどうするんだと思いきや、この曲の後半にあるように、黒子さん達がステージの設営を始めるのである。ライブと同時進行でステージができあがり、それとともにメンバーが増えていくという趣向がこの映画の前半の面白さである。バーンによるとこの映画の黒子さんは歌舞伎の影響らしいがホントかね。

この演出がギミックのように語られるが、3曲目のクリス・フランツの登場の仕方などメンバーの動きとカメラワークがうまく合っており気が利いているし、上にも書いたが何よりこの映画はバンドの最高の演奏を才能あるスタッフがしっかりしたカメラワークでおさめたからこそ成功したのだと思う。この映画に観られる演出は実はかなりチープなものなのだけど、これは当時隆盛を誇ったスタジアムロック的演出のアンチテーゼなのである……なととしたり顔で書いているが、適当に思いつきを書いているだけで本気にしないように(笑)

"Once in a lifetime" は Trailer にも使われているし、確かこの映画のサントラからシングルカットされたと思う。"Road To Nowhere" あたりと並んで、ヘッズの中で最もポピュラーな楽曲だろう。

この曲の珍妙なバーンのステージアクションは有名だが、アフロビートに傾倒し、実際黒人のサポートメンバーを揃えた当時最高のファンクバンドと言ってよい演奏をバックに、眼鏡をかけて神経質に痙攣ダンスをするところがいかにもバーンらしい。

この痙攣ダンスといい、Stop Making Sense と銘打ちながら、振付師を雇いしっかり演出する段取り君ぶりを発揮するデヴィッド・バーンという人は、極めて80年代的なポップスターだったのだなと思う。

映画のタイトルはこの曲の歌詞から採られたもので、黒子さんが作りあげるシンプルながら美しいライティング、バーンのズートスーツ、そしてバーニー・ウォーレルの変態キーボードが渾然となったこの曲は映画のハイライトの一つである。

やはりこの映画の美しい映像は DVD で観たほうがよいと思う。一応サントラのほうもアサマシしておく。

Stop Making Sense

Stop Making Sense

ジョナサン・デミは最近ではニール・ヤングの伝記映画 Neil Young: Heart of Gold を撮っているが、彼がおよそ10年前に撮ったニール・ヤングのビデオも美しかったな。日本では公開されないのだろうか。

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