当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

Twitter はてなアンテナに追加 Feedlyに登録 RSS

ザ・タウン

ザ・タウン Blu-ray & DVD〈エクステンデッド・バージョン〉ブックレット付き(初回限定生産)

ザ・タウン Blu-ray & DVD〈エクステンデッド・バージョン〉ブックレット付き(初回限定生産)

注意していなければ、観ようと思うことなくスルーしていたはずの映画である。

ワタシが本作に興味を持ったのは、ベン・アフレックは監督としてなかなか才能があるよという話を以前何かで読んでいて、公開時に日刊サイゾーニューズウィークの記事を読み、これがその映画かと気付いたからだ。

ニューズウィークはアフレックをクリント・イーストウッドに喩えていてひるんだが、確かにまだ若いというかカメラ回しすぎだよというところもあるものの、これは文句なしの快作である。アフレックは見事に面目を保ったと思うし、日本未公開だった彼の第一作目も観たくなった。

本作はアフレック自身が育ったボストンを舞台としている。ここは銀行強盗や現金輸送車の襲撃が半端なく多く、それが「職業」として親子に受け継がれたりする物騒な土地柄だそうだ。そうした「街」に生き、強盗に手を染める主人公をどう扱うかというは難しい問題で、何の留保もなしにヒーロー扱いするわけにはいかないし、だからといってただの悪漢として描いたのでは娯楽作でなくなる。

本作は、主人公が関わってはいけない相手に近づくというプロットをうまく使っていると思うし、「街」から逃れることの難しさも(ありがちな設定とはいえ)本作の磁場の役割を果たしている。

その呪うべき磁場の象徴としてピート・ポスルスウェイトが存在感ある悪役を演じているが、これが彼の遺作になるのかな。

インターネット・アーカイブが150の図書館と提携して電子書籍の貸し出しサービスを立ち上げ

ちょうどシリコンバレー101LendleBookLending.com といった KindleE-Book の貸し借りサービスに関する記事を読んだところだった。

この手のサービスを考える上で「図書館」を忘れてはいけないわけで、Internet Archive が手がける Open Library において、150の図書館と提携して8万冊もの電子書籍の貸し出しサービスを立ち上げたみたい。

一度に5冊まで2週間借りれるとのことで、電子書籍はブラウザ内で読む形式、PDF、ePUB で提供していること。

それにしても出版社も図書館も動きがはやいね。それとひきかえ(以下略)。

ただ気になるのは、このサービスはかつて Internet Archive がぶちあげたBookserver構想の一環と考えてよいのかという点。要は BookServer と Open Library の連携だが、今はそのあたりについて突っ込んで調べる時間がないのが残念なり。

1970年代初頭のボウイ、イギー、ルー・リードのドキュメンタリー『The Sacred Triangle』が買えない……

昨年秋に1970年代初頭のデヴィッド・ボウイイギー・ポップ、そしてルー・リードの関係に焦点をあてたドキュメンタリー『The Sacred Triangle: Bowie, Iggy & Lou 1971-1973』の話を知って以来 DVD が出るのを楽しみにしていたのだが、いっこうに Amazon にページができない。

最近になってふと思い出して調べてみたら、Amazon.co.uk では昨年秋から買えるのだが、アメリカや日本の Amazon にはページができていない。なんで?

70年代初頭のこの三人については、『プリーズ・キル・ミー』が詳しいが、こちらも早く日本で買えるようにならんかな。

ハンター・S・トンプソンの伝記映画『GONZO』の日本公開とコミック化

ハンター・S・トンプソンが死んだときには追悼の意味で「ジャーナリズム最高のハッカー」を訳し(参考:ハンター・トンプソンに関する疑問が解決!)、伝記映画についても三年前に取り上げているワタシとしては、ようやく日本でも映画『GONZO ―ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて―』が公開されたことを嬉しく思う。この映画については、日刊サイゾーの記事が良い紹介になっている。

一方で Boing Boing で知ったのだが、彼の人生がコミック化されているそうな。画をみるとすごくハマってそう。

Gonzo (Graphic Biography)

Gonzo (Graphic Biography)

あと映画の公開にあわせてか、トンプソンの代表作『ヘルズエンジェルズ』の新訳が来月発売になるようだが、この本って昨年にも再刊されてなかったかな。

ヘルズエンジェルズ

ヘルズエンジェルズ

ホール&オーツのファンならアレン姉妹の功績をもっと評価すべきではないか

録画しておいた「SONGS」のダリル・ホール&ジョン・オーツ特集をようやく見た。

以前にも書いたことがあるが、ホール&オーツはワタシの初期洋楽体験においてポップミュージックの規範であり、何よりソウルミュージックの入り口となった大切な存在である。

近年彼らの曲がポップカルチャーにおいて脚光を浴びたのは、なんといっても映画『(500)日のサマー』で使われた "You Make My Dreams" だが(ドラマ『モテキ』でも演出が引用されてましたね)、あの映画の評でホール&オーツを小ばかにするような書きぶりのものを読んで本気で腹を立てた覚えがある。

もちろん彼らを愛し評価する人も多いが、そうしたファンの多くも忘れている存在がいる。それはサラ・アレン(Sara Allen)とジャンナ・アレン(Janna Allen)のアレン姉妹だ。

ホール&オーツのファンなら、サラ・アレンがかつてダリル・ホールの長年のガールフレンドで、初期のヒット曲 "Sara Smile" も彼女を歌ったものであることは知っている。しかし、その音楽的な貢献に言及する人は少ない。

ここで思い出すのはビートルズをパロディーにしたテレビ映画『ラトルズ 4人もアイドル!』のラストで、ミック・ジャガー(本物です)がラトルズ解散の原因を聞かれ、こともなげに「女だ。女が割り込んで来た。陰に女ありさ」と答える場面である。

ラトルズ4人もアイドル! [DVD]

ラトルズ4人もアイドル! [DVD]

『ラトルズ 4人もアイドル!』においてジョン・レノンに擬したロン・ナスティの恋人がヒットラーの娘であることが象徴的だが、ビートルズの解散をオノ・ヨーコの責任に帰す言説など、ロック界には男性表現者の恋人の女性が創作に関わることを歓迎しないミソジニックな傾向がある。それをロック男性主義の代表たるミックに言わせているのが『ラトルズ』の優れて批評的なところである。

ただ、正直自分の中にもそうした感情がないとは言わない。ワタシ自身ジョン・レノンの作品におけるオノ・ヨーコの純粋な意味での音楽的貢献はないと考えるし、ジョンのライブ映像を観て、あの女をステージから引きずり降ろしたくなる衝動にかられるときがある。

話をホール&オーツに戻すと、彼らの音楽の素晴らしさを語る際にアレン姉妹の功績があまりに語られてないようにワタシですら思うのだ。主要メンバーの恋人とその妹というグループのメンバー以外の「身内」が成功に直接的に大きく貢献したのは、意外に少ない事例ではないか。

「SONGS」におけるインタビューでダリル・ホールは、ジョン・オーツと共作した曲は実は多くないと語っていたが(これは二人で文字通り一緒に曲作りをすることが少ない、という意味だろう)、彼らの全盛期はホール&オーツの二人だけでなく、サラ並びにその妹のジャンナの四人で一つのソングライターチームだったのだ。

これはワタシの主観ではなく、客観的事実である。全米トップ10入りしたホール&オーツのシングルは(ワタシの数え間違いでなければ)16曲あるが、半分にあたる以下の8曲がサラかジャンナのどちらか、もしくは両名が共作している(元からマイク・オールドフィールドの曲である "Family Man" のカバーをのぞけば過半数だ)。

90年代に入りホール&オーツが失速したのは、年齢的なことや時代の流れもあるだろうが、ジャンナ・アレンが1993年に白血病により36歳の若さでこの世を去り、その後ダリルとサラの仲がうまくいかなくなったことにより、優れたソングライターを二人も失ったからという身も蓋もない事実も大きいはずだ。

現在、ホール&オーツは6年ぶりの来日公演を行っている。それにあわせて何枚目かのベスト盤が発売になった。収録曲のうち、6曲がアレン姉妹が関わった曲である。80年代的な救いがたくダサい PV で彩られたホール&オーツの名曲の多くに彼女たちの才能が刻まれていることがもっと認知されてほしい。

グレイテスト・ヒッツ

グレイテスト・ヒッツ

[YAMDAS Projectトップページ]


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
YAMDAS現更新履歴のテキストは、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

Copyright (c) 2003-2024 yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)