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ホール&オーツのファンならアレン姉妹の功績をもっと評価すべきではないか

録画しておいた「SONGS」のダリル・ホール&ジョン・オーツ特集をようやく見た。

以前にも書いたことがあるが、ホール&オーツはワタシの初期洋楽体験においてポップミュージックの規範であり、何よりソウルミュージックの入り口となった大切な存在である。

近年彼らの曲がポップカルチャーにおいて脚光を浴びたのは、なんといっても映画『(500)日のサマー』で使われた "You Make My Dreams" だが(ドラマ『モテキ』でも演出が引用されてましたね)、あの映画の評でホール&オーツを小ばかにするような書きぶりのものを読んで本気で腹を立てた覚えがある。

もちろん彼らを愛し評価する人も多いが、そうしたファンの多くも忘れている存在がいる。それはサラ・アレン(Sara Allen)とジャンナ・アレン(Janna Allen)のアレン姉妹だ。

ホール&オーツのファンなら、サラ・アレンがかつてダリル・ホールの長年のガールフレンドで、初期のヒット曲 "Sara Smile" も彼女を歌ったものであることは知っている。しかし、その音楽的な貢献に言及する人は少ない。

ここで思い出すのはビートルズをパロディーにしたテレビ映画『ラトルズ 4人もアイドル!』のラストで、ミック・ジャガー(本物です)がラトルズ解散の原因を聞かれ、こともなげに「女だ。女が割り込んで来た。陰に女ありさ」と答える場面である。

ラトルズ4人もアイドル! [DVD]

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『ラトルズ 4人もアイドル!』においてジョン・レノンに擬したロン・ナスティの恋人がヒットラーの娘であることが象徴的だが、ビートルズの解散をオノ・ヨーコの責任に帰す言説など、ロック界には男性表現者の恋人の女性が創作に関わることを歓迎しないミソジニックな傾向がある。それをロック男性主義の代表たるミックに言わせているのが『ラトルズ』の優れて批評的なところである。

ただ、正直自分の中にもそうした感情がないとは言わない。ワタシ自身ジョン・レノンの作品におけるオノ・ヨーコの純粋な意味での音楽的貢献はないと考えるし、ジョンのライブ映像を観て、あの女をステージから引きずり降ろしたくなる衝動にかられるときがある。

話をホール&オーツに戻すと、彼らの音楽の素晴らしさを語る際にアレン姉妹の功績があまりに語られてないようにワタシですら思うのだ。主要メンバーの恋人とその妹というグループのメンバー以外の「身内」が成功に直接的に大きく貢献したのは、意外に少ない事例ではないか。

「SONGS」におけるインタビューでダリル・ホールは、ジョン・オーツと共作した曲は実は多くないと語っていたが(これは二人で文字通り一緒に曲作りをすることが少ない、という意味だろう)、彼らの全盛期はホール&オーツの二人だけでなく、サラ並びにその妹のジャンナの四人で一つのソングライターチームだったのだ。

これはワタシの主観ではなく、客観的事実である。全米トップ10入りしたホール&オーツのシングルは(ワタシの数え間違いでなければ)16曲あるが、半分にあたる以下の8曲がサラかジャンナのどちらか、もしくは両名が共作している(元からマイク・オールドフィールドの曲である "Family Man" のカバーをのぞけば過半数だ)。

90年代に入りホール&オーツが失速したのは、年齢的なことや時代の流れもあるだろうが、ジャンナ・アレンが1993年に白血病により36歳の若さでこの世を去り、その後ダリルとサラの仲がうまくいかなくなったことにより、優れたソングライターを二人も失ったからという身も蓋もない事実も大きいはずだ。

現在、ホール&オーツは6年ぶりの来日公演を行っている。それにあわせて何枚目かのベスト盤が発売になった。収録曲のうち、6曲がアレン姉妹が関わった曲である。80年代的な救いがたくダサい PV で彩られたホール&オーツの名曲の多くに彼女たちの才能が刻まれていることがもっと認知されてほしい。

グレイテスト・ヒッツ

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