「将棋の消費について」は久方ぶりに書いた将棋コラムだが、最初はてなブックマークでの食いつきが前週に書いた文章の足元にも及ばず気落ちしたが、それでも主に好意的な反応をいただき嬉しかった。
個人的には「ブロガー将棋大会」への賛同が多かったのが嬉しかった。いや、「参加者いんの?」みたいな反応があったら崩れ落ちてしまったかもしれないからだ。
さて、瀬川晶司氏のプロ入り試験が遂に今日始まるが、「勝手に将棋トピックス」に書かれてある、
今週の週刊将棋の西條耕一氏の記事によると、瀬川氏のプロ入りは昨年末頃からトップアマおよそ10名が団結して計画されたものだったということですけれども、おそらく瀬川氏はその時点で将棋界に与える影響を考慮し、自身にとって必ずしもプラスとは限らないとしても決断する価値があると判断したのではないかと思っています。
これは当然知らなかったし、ある程度組織的と書くと大げさだが、このような結束があったのに驚いた。瀬川さんには是非力を出し切ってほしい。
そして「圏外からのひとこと」における提案について少し書いておこう。
羽生には「森内ィ、おまえなんか偽の名人だ!。三手で詰ましてやる」とか大口叩かせるんです。
昔はここまでいかなくても、かなり堂々とお互いやりあっていたのだ。第10期名人戦を前にした木村義雄名人と升田幸三八段の戦前のラジオ放送でのやり取りは有名である。以下、『大山康晴の晩節』の80-81ページから引用。
「大山君には悪いが、今度は、あんたに勝ってもらいたかった。気魄がわかっていたから、あんたが勝つと思っていたが」 「窮鼠かえって猫をかむですよ」 「同じ人といつも指しているんじゃ、たいして修業にならないよ」 「大山のような女房の味じゃ飽きたんで、たまにはキャンキャン芸妓の味もなめたいところですか、はっはっ……ともかく、枯淡な味の出てきた名人に挑戦できたのは嬉しいですよ」 「あんたはそういうが、枯淡な味が出てきたらおしまいじゃないか」 「ゴマ塩頭にいつまでも名人になっておられては困る、というのが私の本心です」 「ゴマ塩頭でも負けたくないからな、まあ、風邪を早く治しなさい」
木村義雄の「ふん」と鼻を鳴らす感じが伝わってくるような素晴らしいやり取りである。今では絶対見られないもの……というか、コレ今では放送できないわけだが(笑)、これを聞いた将棋ファンは燃えたに違いない。
中盤で長考していると、耳から出血してドクターチェックが入るんです。
これも実例がある。耳からではないが、第45期名人戦第2局において挑戦者米長邦雄が二日目鼻血が止まらずハンカチを血で染めながらお互い9時間の持ち時間をほぼ使い切る熱戦を制している。
まぁ、こういった演出はともかくとして、梅田望夫さんの「佐藤康光棋聖の名局」を読み、氏にはもっと羽生世代の棋士、そしてその将棋について長い文章を書いていただきたいと思った。
羽生世代について書かれた技術書でない読み物では島朗の『純粋なるもの -トップ棋士、その戦いと素顔-』がお勧めかな。
- 作者: 島朗
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