Open Sources 2.0: The Continuing Evolution
- 作者: Chris DiBona,Mark Stone,Danese Cooper
- 出版社/メーカー: O'Reilly Media
- 発売日: 2005/10/31
- メディア: ペーパーバック
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さて、随分前からここでも取り上げているオライリーの『Open Source 2.0』だが、オライリーのサイトにもページができている。
既に目次も明らかになっているし、前著の例を鑑みればいずれ全文ダウンロードできるようになるだろうから、内容にもほんの少しだけ触れさせてもらおう。
前作は原著の場合ペース数が270程度だったが、今回は420ページを越え、章数を見ても前著の五割増しのボリュームといってよい。これだけの分量になったのは、それだけオープンソースを巡る状況が多様に、複雑になっているからだろう。
前作は RMS、ESR、リーヌス、ラリー・ウォールといったその筋の有名人顔見世興行の印象があったが、今回の執筆陣は Doc Searls などの古参も書いているが、顔ぶれは多彩で Groklaw でおなじみ Pamela Jones のような旬の人も書いている一方で、『Sucess of Open Source』の Steven Weber ような研究者も執筆していたりする。そして何より、『Open Source 2.0』というなら絶対必要だと思っていたティム・オライリーの Open Source Paradigm Shift がちゃんと収録されており(前作の執筆者で今回も執筆しているのは、編者を除けば彼だけじゃないかな)、多彩さに筋を通す形になっている。
多彩さは地理的な面でも言える。11〜13章にかけてそれぞれヨーロッパ、インド、そして中国の状況が語られるわけだが、特にアジアについて二章割かれているのに前作からの展開を感じる。
一方で、日本の状況はほぼまったくと言ってよいほど言及されていない(Japan という単語は本文に登場するのは五ヶ所以下、索引には Mozilla Japan affiliate があるのみ)。そりゃ OSDN の人自らが「OSS界のガラパゴス諸島」と語っているわけだから、何の不思議もないけどね!
ただ公平を期すために書いておくと、本書は組み込み分野における OSS についての記述が(当方が見落としているのでなければ)乏しい印象がある。この分野を編者が重要視していたら変わっていた……ということはないだろうな。
いずれにしても内容充実の一冊には違いないわけで、来年オライリー・ジャパンから刊行される日本語訳は当然ワタシも買います。