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ザ・マスター

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(もう5年前だ!)に続くポール・トーマス・アンダーソンの新作である。

本作は、一言で言ってしまえば、フィリップ・シーモア・ホフマン演じる「ザ・マスター」とホアキン・フェニックス演じる帰還兵の二人のラブストーリーである。ラブストーリーが基本的にそうであるように、本作も不可解で、不条理で、その終わり方は唐突である。

それはよいのだが、ポール・トーマス・アンダーソンへの期待値が上がりすぎていたためか、ほとんどストーリーなどないといってよい本作は正直辛いところがあったのも確かである。本作におけるホアキン・フェニックスの粗暴さと脆さをたたえた演技は見事で、シーマンも例によって安定感のある演技をみせている。しかし、本作はこの二人の演技に頼りすぎてないか?

本作も前作に続いてジョニー・グリーンウッドが音楽を担当していて、前作の観客の不安をかきたてる感じよりもずっと綺麗にまとまっていて、普通ならそれでよいのだろうが、個人的には少し不満だった。

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