『アメリカン・サイコ』の中で、クリスチャン・ベールがヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの素晴らしさを力説しながら殺人を行うシーンをヒューイ・ルイス自身が演じるというのが笑えるし、殺されるのがアル・ヤンコビックというのもまたいい。
『アメリカン・サイコ』の主人公は、ヒューイ・ルイスの他に(もちろんピーガブでなくフィル・コリンズがメインになってからの)ジェネシスが大好きだったはずで、それが80年代的な音楽の趣味の悪さを語っているのだろうが、ワタシはヒューイ・ルイスが好きである。
ワタシがヒューイ・ルイスを好きなところは、ルーツミュージックへの深い造詣をマニアックな形ではなく大衆に好まれる優れた商品として叩き上げた音楽性が第一だが、他にも自分を笑える陽性のユーモアセンスがある。今回のもそうだが、以前にはハイチ地震チャリティーで一人で "We Are The World" をパロディにしていた。
そして、もう一つ彼の美点に義理堅さがある。彼は80年代大ブレイクするが、新しい才能を世に出す手助け、自分が昔世話になった人たちの助力をちゃんとやっているのね。
例えば前者の代表はブルース・ホーンズビーだし、後者で有名なのは、当時低迷期にあったタワー・オブ・パワーの起用がある。
ロックに詳しい人ならヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの前にクローヴァーというバンドをやっていたこと、そしてそれがエルヴィス・コステロのファーストアルバムでバックバンドを務めた話ぐらいは知ってる。しかし、そのクローヴァーの音を聴いた人はほとんどいない。
- アーティスト: クローヴァー
- 出版社/メーカー: ミュージック・シーン
- 発売日: 2009/10/25
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (1件) を見る
コステロのファーストのプロデューサーであるニック・ロウは、このアルバムも1曲だけプロデュースしているが、自分がブレイクするとヒューイ・ルイスはお返しにニック・ロウのプロデュースを買って出ている。
クローヴァーには後に後期ドゥービー・ブラザーズに加入する(現在もメンバー)ジョン・マクフィーがいたが、メインで歌っているのはヒューイ・ルイスでなくアレックス・コールという人である。
で、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの最後のトップ10ヒットとなった "Perfect World"、これはそのアレックス・コールの曲なんですね。ちゃんと彼にも恩返しをしているのだ。
ヒューイ・ルイスが東京ドームを埋めた時代があったんやね……
話を『アメリカン・サイコ』パロディーに戻すと、このビデオは『Sports』30周年記念盤の販促が目的なようだ(映画でかかっていたのはこの次の『Fore!』だが)。『アメリカン・サイコ』パロディーとしてはマイルズ・フィッシャーのほうが好きだが、これを機会に今週末久しぶりに Music Unlimited で聴き直させてもらった。
- アーティスト: Huey Lewis & The News
- 出版社/メーカー: CAPITOL
- 発売日: 1999/07/01
- メディア: CD
- クリック: 11回
- この商品を含むブログ (8件) を見る