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シュガーマン 奇跡に愛された男

今年のアカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞をとった映画で、事前に大体ストーリーは知った上で鑑賞したので、『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』のときみたいに涙が止まらないなんてことはなかったが、良い映画だったと思います。

この映画の美点は、主人公たる「シュガーマン」ことロドリゲスの存在の謎をうまく引っ張ってるところ、そしてロドリゲスの音楽そのものがある。

彼の曲を聴いても、なんでアメリカから遠く離れた南アフリカで闘争のシンボルになったか不思議ではあるのだが、確かに彼の音楽にそんな解釈を許容する謎めいたところ、奥行きがあるのだ。何よりロドリゲスの艶のある声が美しい。

南アフリカで反アパルトヘイト闘争について語る人物が皆白人というのになんだかなと思うところもあるが、一般の国民にすれば圧政には変わりないわけで、ここでミステリーをうまく引っ張る構成が効を奏している。

個人的に唸ったのは、ロドリゲスその人が曲から感じるどこか超然とした感じを、復活後も保っているところ。それがこの映画に気品を加えている。

あと彼が在籍したレコード会社の元オーナーが、いきなり「俺を怒らせるなよ」と凄んだかと思ったらロドリゲスを大仰に称え、でもアメリカで売れたレコードは6枚かなとかまし、そして最後は俺に金を送れとキメキメの表情でしめる、いかにもレコード業界のくわせものといった感じで笑った。お前、絶対金取ってるだろ。

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