菊地凛子さんについては先ごろ熱愛報道が出て、それは別にいい(どうでもいい)のだけど、彼女の本分である女優としての仕事もちゃんと報道しろや! と思うね。
Google ニュースで彼女の名前を検索しても、『Last Summer』についての記事は(やはりブレイディみかこさんが書いた)「菊地凛子の新作がローマ国際映画祭でスタンディング・オベーション!」だけなのだ。情けない。
いまどき、ネットで外国語を読むことさえ厭わなければ海外の情報はいくらでも知ることができる。が、日本の人びとが一番知らないのは海外で暮らす同国人の真の姿だろう。
アナキズム・イン・ザ・UK 第24回:異邦の人 | Last Summer | ele-king
日本のメディアに登場する海外在住の日本人は、ぽつねんとはしていないからだ。
見栄を張ってそんな姿は見せない人もいるし、そんなうすら寂しい姿を知られてしまったら商売にならないので「憧れの海外在住者」路線を貫く人もいる。
が、ある国で移民として暮らしている人間が、どれほど長くその国で暮らそうとも決して消えることのない違和感や、ある種のかなしみのようなものと背中合わせに生きていないというのは、よっぽど鈍感でもない限り、嘘だと思う。
『Last Summer』の主人公からはそのかなしみが透けて見えた。それは菊地凛子という国際女優の体験や、置かれていた立場から毀れてしまったものかもしれない。
長々と引用してしまった。以前にも書いたが、ブレイディみかこさんに今年お会いしたときに菊地凛子さんのことを伺い、彼女に対する好感度がどーんと上がったのだが、彼女はぽつねんとする場に身を置くことを恐れない強さがある人なのだろうと得心がいった。
彼女の主演作であるその『Last Summer』、そして『Kumiko, the Treasure Hunter』の日本公開の話を未だ聞かないのは悲しいとしか言いようがない。