こういう「逸話」や「伝説」により、大げさに書けば故人の聖人視というか良い人化が進むのは好ましくないと思うし、原則論として表現者の人間性と作品の良し悪しははっきり分けて考えるべきだ。ワタシなどむしろ最低な人間が作る作品が人の心を揺さぶるような話のほうが好きなのだが、デヴィッド・ボウイについては一つ改めて紹介しておきたい話がある。
これは今回の訃報を受けてこれみよがしに出てきた話ではないのでいいだろう。それはマーク・ボランの息子を救ったのはボウイだったという話である。
70年代のグラムロック期、最大のライバルだった T Rex のマーク・ボランが1977年に交通事故死した後、残された未亡人と息子はボランの印税をあてにできず途方に暮れていたところ、手を差し伸べたのが――
★そんな時期、「僕と母の前に突如現れた救済者が実はあのデヴィッド・ボウイだったんだ」
というローラン君の告白記事が英デーリー・メール紙に掲載されていた(上の写真)。
以後はグロリアさん母子の衣食住・生活費全部をボウイが支払い続けただけではなく、
ローラン君の学費(それもセレブの子息が通うような高い私学)までずっと父親がわりになって支払い続けたという。ボウイの優しさに涙し感謝する母子が「血縁でもないのに何故こんなに親切にしてくれるんですか?」と訊いても、
マーク・ボランの息子を救ったのはボウイだった|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)
「長年親しくしてきた親友の家族が困っている時、ヘルプするのは友人として当然のこと。
大したことじゃないよ」と軽く受け流し、
「今後も何か僕にできることがあるなら、遠慮せずいつでも連絡してくれ」、
と会話の最後にはいつも付け加えていたらしい。
すごいことだ。いくらスターでもなかなかできることじゃない。
これは後ろめたさを感じずに紹介できるが、ボウイは音楽面でもいろんな人を助けてきた。
モット・ザ・フープルが売れなくて解散しそうなときに、ヒット曲 "All the Young Dudes" を提供して助けたり、ソロになったルー・リードをプロデュースして代表作『Transformer』を生み出したり、ヤク中だったイギー・ポップを助けたりしている。エゴイスティックになりがちなその全盛期に、献身的といってもよいくらいの働きをし、彼らが代表作を作る手助けをしている。
80年代にもイギー・ポップを救っていたようだ。
後にポップが薬物依存症になり、破産の危機にも瀕した。そのためボウイは、1983年にアルバム『レッツ・ダンス』でセルフ・カバーした。ポップが印税の半分を得て、財政的に安定してもらうためである。
チャイナ・ガール - Wikipedia
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