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ズートピア

元々観に行くつもりはまったくなかった映画なのだが、ツイッターで小野マトペさん(@ono_matope)がかつてないほど異様な勢いで推していて、それなら観てみようかと思い、ゴールデンウィーク前に映画館に足を運び、2D の吹き替え版を鑑賞。

いやぁ、これはすごいよね。『シュガー・ラッシュ』にしろ、『ベイマックス』にしろ、ジョン・ラセターが製作総指揮を務めるようになった後のディズニー映画はどれも大体良かったけど、本作は特にすごかったな。

こうやって感想を書くまで他の人の評はできるだけ遠ざけて読まないようにしているのだが、本作に関してはおそらくは他の人が誰でも思うような感想しか書けない感じ。

動物が完全に擬人化され(逆に霊長類は一切登場しない)共存する大都会「ズートピア」において、正義感に燃えるウサギの新米警官ジュディ・ホップスが奮闘する話なのだが、言うまでもなくこのズートピアアメリカの(諸問題の)反映なのだけど、『ゴッドファーザー』のような古典や『ブレイキング・バッド』といったアメリカンカルチャーのパロディネタを織り交ぜつつ、人間が動物に持つステロタイプのイメージを活かしながらも、「多様性は善です」「差別をなくして共存しよう」といったお説教のお題目レベルに留まるところなく、意図せず先入観に支配されていることの難しさ、ちょっとしたことで差別される側が悪意なくする側にまわってしまう構造までちゃんと観客に突きつける、しかも何より映画として一級の娯楽作品、しかもディズニーなんだからアニメーションも世界最高レベルである。

キツネよけのスプレー、ニンジンのペンといった小道具の使い方も気が利いていたね。

なんというか完璧超人に対しているような、ちょっとこれはどうしようもないというか、「やっぱこれを生み出し、許容するアメリカはすごいな」みたいな、むやみに主語を大きくしたマヌケな感想を持ってしまったよ。

肉食動物と草食動物が共存するのはいいとしてお前ら普段何食ってんだという点、映画内で登場するカップル(夫婦)は同じ種同士なのに、同時に異種間にも恋愛が成り立つことも匂わせているあたりどうなんだという点など気になるところはあったし(いずれについてもちゃんと製作側は設定を用意しているのは知っているが、それに納得がいくかは別問題)、そのあたりを突くとこの作品の欺瞞、は言いすぎにしても問題点も見えてくるように思うが、そのあたりは他の人に任せたい。

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