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英国のEU離脱とモンティ・パイソン(ジョン・クリーズ)

グレートブリテン(笑)

さて、先週末はイギリスの国民投票EU 離脱に決まっちゃった話題でもちきりで、ワタシもてっきり残留に落ち着くだろうと思っていたのでびっくらこいてしまったが、それについてワタシが何か政治的なことを論じるつもりはない。ここの読者なら既にいろんな論評を読んでいるだろう。万が一まだ読んでない人がいたら、ブレイディみかこさん小関悠さんの文章は読んでおくとよい。

And now for something completely different... というわけで、政治の本筋の話ではなく、今回の結果とモンティ・パイソン周りの話を少し取り上げておく。

今回の結果を受け、The New Yorker 誌が「ばか歩き(silly walk)」をしながら崖から落ちる英国紳士のイラストを表紙にあしらってて笑ってしまった。もちろんこれはモンティ・パイソンのスケッチが元である。

皮肉なのは、このばか歩きの主であるジョン・クリーズが、EU 離脱支持だったこと。彼自身もニューヨーカーの表紙を Twitter で取り上げている

そういえば朝日新聞「(耕論)英国人の決断 ピーター・バラカンさん、國分功一郎さん」で、ピーター・バラカンが以下のように語っている。

 問題は僕らぐらいの世代で、第2次世界大戦の体験者から直接聞いてきた人たちです。子どものころは「ドイツは敵だ」という意識がありました。例えば「フォルティ・タワーズ」というどたばたテレビ番組があって、ドイツ人観光客をナチス扱いし、完全にばかにしていた。伝説の爆笑番組です。あの世代にはドイツに対する潜在的反感が残っていると思います。

この「フォルティ・タワーズ」というテレビ番組もジョン・クリーズの自作自演で、1970年代の番組なのに英エンパイア誌読者が選んだ「史上最高のテレビシリーズ50」 で24位に入っているくらいで、確か世界的には「空飛ぶモンティ・パイソン」よりこちらのほうが放送国は多かったのではないか。

バラカンが言っているのは、その「フォルティ・タワーズ」の中でももっとも英国で人気が高い、1975年に放映された The Germans の回である(念のために書いておくと、ドイツ人をネタにしているのはこの回だけだからね)。

この回は、頭を打って波長がおかしくなった(ジョン・クリーズ演じる)主人公のホテルオーナーのバジル・フォルティーが、ドイツ人の客を迎えるにあたり、従業員に「戦争の話はするな!」と言いながら、ナチスの侵略行為についてどうしても言及してしまい、ドイツ人客を泣かせるは怒らせるは、しまいにはアドルフ・ヒトラーの真似をやらかし(ジョン・クリーズは「空飛ぶモンティ・パイソン」でも一度ヒトラーに扮している)、そのまま「ばか歩き」を披露するというメチャクチャな展開で、これを見ると今でもイギリスの年輩者は死ぬほど笑うのである。

BBCYouTube 公式チャンネルでその場面のクライマックスを公開しているので、堂々と紹介できる。

「お前が戦争の話を持ち出すから」と抗議するドイツ人の客に対し、「お前らが先だろ」「我々が話を始めたんじゃない」という言い争いの後、「でも、ポーランドに侵攻したのはお前らだろ」で大爆笑。

確か21世紀に入ってからだと思うが、ドイツの大臣かが件のスケッチについて「ああいうのはもう止めてほしい」ともらしたところ、すかさずイギリスの新聞は(バジル・フォルティーが↑の動画の後半で怒鳴り散らすように)「ドイツ人ってホントユーモアのセンスがないな!」と嬉々として書きたてたもので、こういうところは本当にイギリスのプレスは性格が悪い。

このエントリに特にオチはないのだが、まったくとんでもないことになったものだ。

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