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高須正和『世界ハッカースペースガイド』の感想を書いておく

世界ハッカースペースガイド (CodeZine Digital First)

世界ハッカースペースガイド (CodeZine Digital First)

高須正和さんの新刊『世界ハッカースペースガイド』については先月取り上げたが、その後恵贈いただいたので、少し感想を書いておく。

これを読んで改めて感服するのは、著者である高須さんの行動力である。彼は確か、ワタシと年齢は一つ違いだったと思う。つまり、既に彼もワタシもまぎれもないオッサンである。それでも彼の行動力が、彼のたたずまいを若々しいものにしている。

アメリカ、ヨーロッパ、アジアのハッカースペースに実際にずんずん取材し、まとめた本なんて世界初ではないか。折角なら一つくらい日本のハッカースペースの現状も書いてほしかったとか、ほぼすべてのハッカースペースの訪問難易度が「最も簡単」なのはどうなんだ、といった不満というかアラを探せばあるが、大した話ではない。

本書に引用されている、もはやこの界隈の重鎮であるミッチ・アルトマンの文章は、ある意味感動的ですらあるし、「ハッカースペースは「おまいら」の場所だ」という本書の精神を言い当てている。

 ぼくらはひきこもりで内向的なオタクだから、誰とでも話したいわけじゃない。でも、ハッカースペースやハッカーカンファレンスに参加している連中はほぼすべてが内向的なオタクだ。しかも彼らは、おそらくクールなプロジェクトを持っている(または考えている)内向的なオタクなんだ。だから、「どういうことをやっているの? 試させてもらえる?」と話しかけることで、簡単に会話を始めることができる。

 そうやって話しかけたからと言って君の人格が変わるわけじゃない。君が独自の趣味を持ったコミュ障のオタクであることはすごく大事な、いちばん良いことだ! それでも、生涯の友人になるかもしれない人々に会うことができる。その人に会う前にあなたが興味を持っていなかったことに興味を持つこともある。オタクとの出会いは人生を変えるかもしれない。

本書に収録されている SexyCyborg のインタビューは、ワタシも最初読んだとき、なんだこりゃ? と呆れたものだが、改めて読み直すと、今話題になっているトピックをいくつも掴んでいて唸った。

このインタビューで彼女は Dale Dougherty のことをボロクソに言っているが、最新の Make 誌の表紙はなんと彼女である。こうして彼女は現実をまた一つ変えたのだ。

Make: Volume 61

Make: Volume 61

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