今更ではあるが、音楽の世界ではグレートフル・デッドの作詞家として知られ、ワタシのようにネットに生活の重心がある人間にとっては、なんといっても電子フロンティア財団(EFF)の共同創始者にして、「サイバースペース独立宣言」の作者であるジョン・ペリー・バーロウが先週亡くなったことを取り上げなくてはならないだろう。
彼の訃報に際して、いくつも追悼文が出たが、平和博さんのエントリがそれらのよいまとめになっているので、彼の業績を把握したい人にお勧めする。
個々の追悼文では、やはり EFF の簡潔明瞭な追悼文がよかったし、スティーヴン・レヴィの文章がもっとも胸に迫るものがあった。
レヴィが書くように、バーロウの思想を本にまとめてほしいと願った人たちは多かったろうが、その死の前に自伝を書き上げてくれていたのは、せめてもの慰めである。邦訳出てほしいな。
Mother American Night: My Life in Crazy Times
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ワタシの文章では、「「自由の真の代償」と「自由の真価」 〜 サイバースペース独立宣言を越えて」が、言うまでもなくジョン・ペリー・バーロウの仕事なくしてありえないものである。これを書いて、ほぼ10年になるんだな……。
3年前に書いた、「20年後:インターネットの自由という夢の死」と「我匿す、ゆえに我あり」はその続編と言えるし、ワタシなりのやり方でバーロウの仕事を継ぐものであった。
そういえば、フレッド・ウィルソンはバーロウについて、以下のように書いている。
John Perry Barlow understood what the Internet was, what it could be, and what it must be before most of us did.
John Perry Barlow – AVC
これはバーロウについて的確に表現した一文だと思うが、特に it could be というところで、ワタシは自分が書いた「思想としてのインターネットとネット原住民のたそがれ」を思い出してしまう。彼は、間違いなく誇り高きインターネット原住民だった。
そうした意味で、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』自体、バーロウらのレガシーを踏まえたものとさえ言えるだろう。書名からも分かる通り、とても楽観的とはいえない本であるが――