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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

公開から数週間経ってようやく観れたわけだが、その一週間後には『レディ・プレイヤー・ワン』が公開になる。まさか2018年になって、スティーヴン・スピルバーグの新作を二週続けて映画館で観ることになろうとは思わなかった……と思ったら、都合により『レディ・プレイヤー・ワン』が公開日に観れないことになり、二週続けてとはいかなかった。いずれにしても、スピルバーグもこの歳になってバンバン新作撮ってるのスゴいよね。

本作は、明らかに現在のアメリカの政治状況が製作の動機になっている。そうした意味で本作は『リンカーン』『ブリッジ・オブ・スパイ』に連なる作品である。

この二作が当時のオバマ政権に対するメッセージをこめたもので、そのメッセージは乱暴に短くまとめるなら、「困難な状況に耐えて屈せず、妥協もしながら意志を貫き大きな仕事をなせ」となるだろうか。なんとも忍従を要する話であるし、あまり映画として面白そうではない。特に『リンカーン』がそうだったわけだが、オバマの後にドナルド・トランプが大統領になり、それを受けた本作が主体的で面白いものになったのに一種の皮肉を感じる。

ただ本作で問われる理念が、アメリカだけでなく現在の日本にもとても重要なものであることは、ワタシが指摘するまでもないだろう。

キャストでは、ワシントン・ポストの社主であるキャサリン・グラハムを演じるメリル・ストリープの抑えた演技が実に素晴らしかった。『ブレイキング・バッド』と『ベター・コール・ソウル』のファンとしては、ボブ・オデンカークが脇役をやってるのも嬉しかったな。

本作は、報道機関が巨大権力と戦う勇気を描いたものだが、それだけではなく、夫の自殺により図らずも社主の座を受け継ぎ、男性優位の社会で明らかに軽んじられていたキャサリン・グラハムが、報道機関の経営者としての覚悟と強さを獲得するという点でも現在的なテーマをもった作品と言える。

「権力に立ち向かう報道」と書くとかっこいいが、本作ではキャサリン・グラハムだけではなく、その勇気を鼓舞する記者の代表である編集主幹ベン・ブラッドリーが、JFK にべったりだった問題もきちんと触れているのがよかった。

本作は、リチャード・ニクソンを退陣に追い込んだウォータゲート事件につながることを示唆して終わるわけだが、キャサリン・グラハムが獲得した強さなしに、その報道はなしえなかったろう。

ウォータゲート事件の報道を描いた映画『大統領の陰謀』(asin:B004PLO5MO)を恥ずかしながらワタシは観たことがないのだが、ありがたいことにちょうどタイミングよく、BS プレミアムでこの映画が放送されるので、録画して観ることにする。

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