Pluralistic 経由で、The Right to Repair という新刊を知る。ズバリ書名通り「修理する権利」をテーマとする本である。
これの著者の Aaron Perzanowski は、「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2018年版)」で取り上げた The End of Ownership という刺激的な本の共著者だった。あれを書いた人の新刊なら期待できる。
近年、欧米では「修理する権利」を求める声が徐々に高まっており、それは昨年「修理する権利」を認める法律が可決されたことに結実する。
やはりこれもリナ・カーンとティム・ウーのバイデン政権入りが大きかったようだ。
しかし、この記事にもあるようにメーカー側の反発は大きい。デジタル家電の複雑化、サイバーセキュリティ、特許保護など「修理する権利」に反対する理屈はいくつもある。
アメリカだけではなく EU でもそのあたりの規制案が採択されているが、日本では認知度もそのための動きも低調なようだ。
コリイ・ドクトロウによると、この本は知的財産法から貿易法、消費者保護、消費者安全、サイバーセキュリティ、不正競争といったいろんな観点に関して、消費者主義の名の下に企業の主張を粉砕しているとのことで、消費者にとっての「修理する権利」入門書として最適なものと思われる……が、邦訳は難しいかなぁ。
ドクトロウ以外にもブルース・シュナイアーとケイト・ダーリングなどが推薦の言葉を寄せている。
……と思ったら、Wired にまた「修理する権利」の記事が出た。この権利のために車の最新機能が使えない? という話だが、「修理する権利」があったとしてもハイテク化する製品に我々が対応できるのかという問題は確かにあるわな。