ウィキメディア財団が Wiki Unseen というプロジェクトを立ち上げている。
これは2月が黒人歴史月間なのを受けたもので、Wikipedia をはじめとする Wikimedia 財団が手がけるプロジェクトにおける BIPOC(黒人、先住民、有色人種)の(ヴィジュアル)コンテンツを拡大し、知識の公平性のギャップを埋めることを目的としている。
手始めに AfroCrowd.org とのコラボレーションで、アフリカ系の著名アーティストに依頼して、Wikimedia Commons にコンテンツがない偉人の肖像画を制作するという。
要は、黒人など BIPOC な人達の(ヴィジュアル)コンテンツが、白人と比べて少なく Unseen になっているという反省を踏まえ、「世界中の人たちがあらゆる人類の知識の総和を共有できるようにする」とウィキペディアのヴィジョンの実現を目指して、そちらの拡充を意識的に目指すものですね。
これは昨年ワタシが訳した文章だが、これも知識の公平性の面で「ウィキペディアにはバイアスの問題がある」という問題意識に基づくという意味で、今回の取り組みにつながるものである。
この文章でも、「ウィキペディアは、圧倒的に西洋のシスジェンダーの男性の主張、意見、そしてバイアスを具現化した」過去があり、「出版された資料から得られる知識は偏っている。資料に出てくる人や知識も、主に白人の男性である」と主張されている。
ただ訳しておいてなんだが、Jackie Koerner の意見には正直賛同できないところがあり、上記のバイアスは確かにあるだろうが、百科事典が百科事典である根本を支える「信頼できる情報源の方針」を「出版された資料から得られる知識は偏っている。資料に出てくる人や知識も、主に白人の男性である」と斥けかねないところに危うさを感じた。
そうした意味で、今回の Wiki Unseen の取り組みは、明らかに現状足らないものを補うものであり、良い取り組みだと思う。