フランスの Konbini というサイト(日本語の「コンビニ」から名前をとったのかな?)がやってる、著名な映画監督がビデオ店で愛する映画について語り倒す動画シリーズが既に話題になっている。本文執筆時点でデヴィッド・クローネンバーグが最新で、これが実にいい。
こういうのって、やはり最初に挙げる映画が一番グッとくるね。ざっと訳してみる。
私が子供の頃、住んでたトロントでは毎週土曜に子供たちが大勢劇場にやってきて映画を観てたんだ。映画館の名前は「Pylon」で、子供向けにカウボーイ映画やディズニー映画とかやってた。
ある日「Pylon」を出ると、通りの向こうにも映画館があって、名前は「Studio」なんだけど、そこはイタリア映画しかやってなかった。「Studio」から出てきた人達は、全員で大人で子供は一人もいなかったんだけど、涙を流して泣いてたんだ。すすり泣いていた。私はそれに衝撃を受けた。だって、子供の頃、大人が通りで泣いてるのなんて見たことなかったから。
これはすごいと思い、私は通りを渡って、彼らがどんな映画を観たのか確かめに行ったんだ。それはフェリー二の『道』だった。
これが、映画の力を知った最初の映画なんだ。子供向けの娯楽作品や冒険活劇でなく、感情を揺さぶるとてもパワフルな映画だった。だから、『道』やフェリー二が、私にとって映画作りの入り口になったんだ。
ありがちかもしれないが、ワタシにとっても『道』は、一番泣いた映画なんですよ。
他にもイングマール・ベルイマン、ポール・バーホーベン、リドリー・スコットから息子のブランドン・クローネンバーグにいたるまで、いろんな映画(と自分の作品の関係)について語ってるよ。
さて、デヴィッド・クローネンバーグというと、新作『Crimes of the Future』がかなりの衝撃作らしい。
上の動画でもクローネンバーグは、ジュリア・デュクルノーの『TITANE/チタン』を賞賛しているが、こうした奇想と変態美の映画のオリジネーターである彼が本領を発揮してそうで楽しみである。