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「SF映画ベストテン」を選んでみた

昨年に続き、今年も参戦させてもらう。

……と決めたものの、ざっと何を入れようか考えていてあまり気持ちが盛り上がらない。『2001年宇宙の旅』や『時計じかけのオレンジ』や『ブレードランナー』なんかが入ったリストをまた一つ作る意味あんのかなぁ、と。でも、ワタシが普通に選んだら絶対そうなっちゃう!

そこで、気持ちを盛り上げるために、勝手に自分の中で「最近20年以内に作られたSF映画から選ぶ」という条件をつけさせてもらった。

そういうわけでワタシが選ぶSF映画ベストテンは以下の通り。基準としては、素直に「センス・オブ・ワンダー」を基準に考えてみた。

  1. アンドリュー・ニコルガタカ』(1997年)
  2. クリストファー・ノーランインセプション』(2010年)
  3. ディーン・パリソット『ギャラクシー・クエスト』(1999年)
  4. ニール・ブロムカンプ『第9地区』(2009年)
  5. ラリー・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキーマトリックス』(1999年)
  6. デヴィッド・クローネンバーグイグジステンズ』(1999年)
  7. エリック・ブレス、J・マッキー・グラバー『バタフライ・エフェクト』(2004年)
  8. アンドリュー・スタントン『ウォーリー』(2008年)
  9. 今敏『パプリカ』(2006年)
  10. テリー・ギリアム12モンキーズ』(1995年)

それでは各作品について簡単に触れておく。

アンドリュー・ニコルガタカ』(1997年)

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世間的には過小評価され忘れられたSF映画なのかもしれないが、本当に好きな映画である。

結局はこの映画のラストが素晴らしい。検尿場面で泣くなど映画史の中でこれだけだろう。そして、マイケル・ナイマン先生の美しい旋律と主人公の宇宙への執着の意味に自ら気付くモノローグ――何度見ても涙腺決壊やで。

アラン・アーキンゴア・ヴィダル(!)といったベテランも短い出番でいい味出してたね。

クリストファー・ノーランインセプション』(2010年)

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柳下毅一郎さんなどバカ呼ばわりしてはばからないクリストファー・ノーランだが、ワタシはまったく同意しませんね(笑)。

この映画も観終わると何も残らないという彼の映画に共通する欠点はあるが、これだけの映像世界を作り上げ、観ている間これだけエキサイトさせてくれる映画なのだから文句はない。

ディーン・パリソット『ギャラクシー・クエスト』(1999年)

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正直、映画としての楽しさ、いとおしさはこのリストの中でダントツなのだが、「センス・オブ・ワンダー」としては少し落ちるか。

スター・トレックへのオマージュ満載の映画だが、トレッキーでないワタシも文句なく楽しめる映画で、何より役者が役者のまま、オタクがオタクのままヒーローになるところが好きだ。艦長の「これは現実なんだ!」の一言でオタクたちを歓喜させる場面の高揚感は忘れがたい。

この点において、この映画は『サボテン・ブラザーズ』と大体同じ話だけどそれを凌駕しているのである。

ニール・ブロムカンプ『第9地区』(2009年)

映画としての欠点も確かにあるのだけど、『アバター』ミーツ『ザ・フライ』な魅力が補って余りある映画ですな。

ラリー・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキーマトリックス』(1999年)

その後10年間に作られたいろんな映画に多大な影響を与えた作品にしては順位が抑え気味なのは、本作よりもずっとお金がかかっておりアクションも派手なのにうっかり居眠りしそうになるくらい退屈な二作目と、いったい自分は何の話を観ているんだっけ? と何度か自問してしまう三作目という続編が本作の評価をも微妙に下げているからである。

デヴィッド・クローネンバーグイグジステンズ』(1999年)

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上にリンクした文章にも書いたが、デヴィッド・リンチにとっての『マルホランド・ドライブ』にあたる作品で、つまりはどこを切ってもクローネンバーグな映像世界を満喫できる円熟のクローネンバーグ印映画である。『ヴィデオドローム』の焼き直しとも言われるが、実はワタシ未だ『ヴィデオドローム』観てないのよね……。

ワタシがクローネンバーグに求める奇想と変態美を存分に満たしてくれる。

エリック・ブレス、J・マッキー・グラバー『バタフライ・エフェクト』(2004年)

何度過去を繰り返しても悲劇を避けられないという『タイムマシン』な映画なのだが、映画としてのスピード感と立ち上る切なさがよかったですね。ラストの抑制のきいた感じも印象をよくしている。

アンドリュー・スタントン『ウォーリー』(2008年)

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WALL・E/ウォーリー - YAMDAS現更新履歴

ピクサー映画ではじめて映画館で観た作品なので特に思い出深い。上の感想ではあまりよい話を書いてないが、よくこのハードな設定を映画にしたという意味でもっと誉めればよかった。

今敏『パプリカ』(2006年)

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インセプション』を観たとき、ニヤリとしたものだが、『パーフェクトブルー』『ブラック・スワン』などダーレン・アロノフスキー作品への影響といい、今敏はすごい映像作家だったのだ。本作がその彼の遺作になってしまったのは残念としかいいようがない。

テリー・ギリアム12モンキーズ』(1995年)

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この映画は、普通のSF映画として観れば立派なものなのだけど、ギリアム映画としてみると正直物足りない。例えば『バンデッドQ』における最後の爆発、『未来世紀ブラジル』におけるデ・ニーロの「消失」、『バロン』において場末の芝居小屋が一瞬にしてトルコの宮殿に変わる場面、そして何より『フィッシャー・キング』におけるグランドセントラルステーションのワルツのようなこれぞギリアムと言いたくなる映像的カタルシスを感じる場面に欠けるんですね。

役者ではブラッド・ピットキレたヘタレ演技がよかった。

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