ワタシも「社会的価値としてのプライバシー(後編)」で取り上げ、『プライバシーの新理論―― 概念と法の再考』(asin:4622077655)、『プライバシーなんていらない!?: 情報社会における自由と安全』(asin:4326451106)の邦訳もあるダニエル・J・ソローヴ先生が、プライバシーについての本を5冊選んでいる。
最近出た本では、まずは Neil Richards の Why Privacy Matters がある。
ソローヴ先生はこの本について、プライバシーは死につつあるとか不気味なものといった俗説を斥け、プライバシーが我々のアイデンティティや自由にいかに重要かを論じていることを評価している。
あともう一冊、Ari Ezra Waldman の Industry Unbound も昨年出た本である。
ソローヴ先生はこの本について、プライバシー法がどんどん可決され、企業によるプライバシープログラムが広まり、我々は一見プライバシーの黄金時代に生きているように錯覚するが、実はそうしたプライバシープログラムは骨抜きにされており、無意味な紙の記録を作るだけで、お粗末な現実の表面を覆い隠しているだけなのを論じていることを評価している。
ソローヴ先生が選んだ5冊の中で既に邦訳があるのは、ダニエル・キーツ・シトロンの『サイバーハラスメント』だけかな。