何か面白い洋書を知りたい人全般におススメできるかは分からないが、自分が信頼する人が序文を書いている本という切り口はあるかもしれない。普通の推薦文でもよいのだけど、正直それだと濫発している人もいるのでねぇ。
イーサン・ザッカーマンといえば、彼の本を取り上げた「「閉じこもるインターネット」に対するセレンディピティの有効性」を書いたのがおよそ10年近く前になるんやね。
最近では「世界を変えた26行のコード」の本にも寄稿しているが、最近、彼が2冊の本に序文を書いているのに気づいたので、それを紹介しておきたい。
まずはヘザー・フォードの Writing the Revolution。これは昨年秋に出ていた。
ウィキペディアにおけるエジプト革命に関する記述(の10年に及ぶ変化)を調査取材することで、ウィキペディアの内容が「デジタル時代における事実の定義そのものをめぐる長引く権力闘争の結果」であることを批判的に考察したもので、歴史は今やアルゴリズムによって書かれるのかという疑問に答えるものみたい。
本の情報については著者によるページも参照くだされ。
Wikipedia とエジプト革命の関係については、ワタシも「ネットにしか居場所がないということ(前編、後編)」で取り上げているが(特に前編)、Wikipedia について論じた本は久しぶりな印象があるのでとても気になるが、これはさすがに邦訳は難しいだろうな。
もう一冊はレスリー・ステビンズの Building Back Truth in an Age of Misinformation。こちらは来月出る。
どうすればネットに真実と信頼を取り戻せるのかについて、やはりソーシャルメディア・プラットフォームを批判的に考察した本みたい。プラットフォーム企業が公共の利益を優先し、ジャーナリズムを修復し、信頼できるコンテンツを促進し、新たに健全なデジタル公共広場を作るべくキュレーションを強化することを謳っている。
今年に入って著者が Salon に寄稿した記事が本の内容なのだろう。
そういえばここで取り上げた本の著者はいずれも女性だが、イーサン・ザッカーマンはそういうフックアップを自分の役割と課しているのかもしれない。