Slashdot 経由で知った、「職もなければ、結婚もしておらず、子供もいない:中国の労働者と35歳の呪い」と題された New York Times の記事だが、「35歳の呪い」とは、35歳以上のホワイトカラー労働者を歓迎しないという(法律違反ではない)中国企業に蔓延する年齢差別を指す。この「呪い」が、キャリアや結婚や子供をどうするという岐路に立つ30代の労働者にとって打撃になるのは言うまでもない。
かつて「プログラマー35歳限界説」とか本邦で言われたものだが(今も?)、その「35歳限界説」がプログラマーに限らず、ホワイトカラー全般にある感じだろうか。
この記事では、中国のお役所の人による、中国の若者が結婚を遅らせるのは、労働市場における競争の激化があるという分析が引用されているが、コロナ後の景気停滞により、今後数年間は、1970年代後半の開放政策への転換以来、もっとも厳しい雇用状況になるだろうというエコノミストの予測もある。2028年までに16歳から40歳までの5000万人が失業する可能性があるというのだから恐ろしい。
それ以降も、35歳は社会の疫病神扱いで、そのあたりの年齢で就職しようといくら応募してもダメといった暗い話が続く。最後はこの記事で取材を受けたリャンさん(38歳)の「崖っぷちです」という言葉で締められている。
年齢差別があるなら、その分若い人が得かというとそういうわけでもないようで、この記事では「買い手市場」でやりたい放題な中国企業の事例が挙げられる。
湖南省に住む29歳の女性は、求人サイトである企業の経理職に応募した際、星座の入力を求められたという。彼女によれば、その星座はどうやら上司になる人の星座と相性が悪かったようで、その後、先方からの連絡は途絶えた。
中国の就活では書類選考で落とされる「星座」と「手相」がある… | 「買い手市場」で企業はやりたい放題 | クーリエ・ジャポン
日本の就職氷河期を連想させられるが、星座や血液型を理由に落とされることはさすがになかったと思う(あったの?)。当然若年者の失業率も高いという。
中国国家統計局の発表によれば、16~24歳の失業率は20.8%に達し、過去最悪を更新している。そのうえ自分の能力やスキルとはまったく関係ないことで落とされては、苦しい就職活動に希望がもてないだろう。
中国の就活では書類選考で落とされる「星座」と「手相」がある… | 「買い手市場」で企業はやりたい放題 | クーリエ・ジャポン
「中国で増える若者の自殺、学業のプレッシャー大きく-卒業後も就職難」という Bloomberg の記事をやはり最近見たばかりだが、そんなにハードモードじゃ、そりゃ若者の自殺も増えるだろうし、「寝そべり族」なんて言葉も生まれるわけだ。
以前、日本に留学している中国人留学生が、中国に比べれば日本は競争が遥かに緩い(から日本に来た)と言っている話を Twitter で見かけた覚えがあるが、そうも言いたくなるわな。