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友人が教えてくれた英語学習に最も適した映画とその勉強法

ワタシの友人にあるときから(それまでまったくその気配がなかったので驚いた覚えがある)憑かれたように英語学習に燃え始め、みるみるその力を上げ、しまいには勤めていた会社を辞めてオーストラリアに移住した男がいる。

うちのブログ的には、「オーストラリアの美しい自然をお楽しみください」にある写真を撮影したのが彼だったりする。

昔、彼に英語学習法を尋ねたことがある。もちろん彼は複数の学習法を組み合わせていたのだが、面白かったのは映画を使った学習法だった。

ここでの映画はもちろん洋画だが、どんな洋画でも使えるわけではない。彼はいくつか条件を挙げた。

まず何より会話中心の映画であること。言葉が少ない映画はそれだけで論外。映像で魅せるアート系作品など論外だし、いくら使われてる言葉が簡単だからってアクション映画は「会話」がない場面が多いので厳しい。

しかもそこで使われる語彙が標準的で明瞭でないといけない。SFやファンタジー系は造語が多いし、あといくら名作とされても登場人物がボソボソとしか喋らないもの、台詞が抽象的なもの、方言がきつすぎるものもダメ。同じ理由では時代ものも除外。

そして、その会話のシチュエーションが日常的で応用が利くものでないといけない。オフィスやカフェやレストランやドラッグストアといった自分も身を置く場所での会話でないと使えない。医療ものや裁判ものなど専門用語が多いものは遠回りになるし、あとここでもSFやファンタジーは舞台が地球外だったり異世界だったりするのでダメ。

そのように試行錯誤を繰り返した結果、彼がたどり着いた結論は――

メグ・ライアンのラブコメ最強

この時点でワタシは、彼に倣って映画を使った英語学習法を試す気が失せたし、以上の条件に異論を唱える人もいるだろう。特定の趣味が昂じて英語力が必要になった人は、例えばその趣味が SF なら、SF 映画が最高の教材になるわけだが、彼の場合、そういうのはなくただいきなり英語をマスターしたいと思ったのだ。前提となる趣味がなく、しかも映画についての好みや審美眼にこだわりがなければ、確かに上記の条件は満たしており、筋は通っている。

さて、彼はメグ・ライアンのラブコメを以下の順番でしゃぶり尽くしたそうだ。

  1. 一度字幕版で見てストーリーを把握(英語力があがればこのステップは不要)
  2. 英語音声+英語字幕で観て内容を確認
  3. 英語音声+英語字幕で観ながら、登場人物にあわせて自分も台詞を喋る
  4. ↑を登場人物と同じトーンで台詞を喋れるようになるまで繰り返す(そのうち台詞を半ば覚えてしまう)
  5. 英語音声+字幕なしでも登場人物にあわせて自然に台詞を喋れるところまで繰り返す

こうやって書いていると鬼気迫るものを感じるが、メグ・ライアンもここまで自分の主演映画をリピートしてもらえれば嬉しい……かな?

もっとも彼にこの話を聞いたのがおよそ10年前なのでメグ・ライアンだったのだろう。今ならまた別の最適な映画ジャンル(?)があるのではないか。多分、それもライトなコメディだと思うが。

えーっと、上にも書いたようにワタシ自身はこの英語学習法をやったわけではないので、「一通りやったけどまったく英語が身につかないので、お前責任取れ」とかはご勘弁願います。

栗原裕一郎「盗作事件史から考える佐野眞一の盗作疑惑事件」

週刊朝日「ハシシタ・奴の本性」連載中止後に佐野眞一の過去の盗作疑惑が噴出し、それを受けたガジェット通信の連載が始まったのは知っていたが、ワタシ自身佐野眞一の読者ではなかったので追ってなかった。

しかし、宝島社から『ノンフィクションの「巨人」佐野眞一が殺したジャーナリズム 大手出版社が沈黙しつづける盗用・剽窃問題の真相』なる本が出ることを知ったとき、ワタシが真っ先に知りたかったのは、『<盗作>の文学史』の著者である栗原裕一郎さん(id:ykurihara)の感想だった。

すると栗原さんから、依頼に応じて長めの原稿を書いたものの、中立的に事件を評価したがゆえに掲載拒否されてしまったことを Twitter で教えていただき、恐縮するとともに何じゃそりゃとも思ったものである。

そして今回栗原さんの問題の文章がウェブ公開されたので読んでみたが、極めて穏当な栗原さんらしい文章で、これが「他の執筆者への仁義にもとる」という先方の主張の意味が分からない。

もちろんここで「穏当」というのは、腰が引けているという意味でなく、一方的でも扇情的でもなく冷静という意味である。冒頭に置かれた盗作事件報道の変遷の話も『<盗作>の文学史』を読んでない読者にも分かりやすいまとめだし、何より「盗作」「剽窃」と指弾される案件に著作権法とは無関係な場合が多いという話が強調されている点において、佐野眞一に興味がない人にも一読をお勧めできる文章である。

ここで我田引水させてもらうと、これはワタシが訳した『3Dプリンティングと著作権を考える』に通じる話で、ブツがなんでもかんでも著作権法で守られるわけではないのである。

しかし、こうして栗原さんの文章を読むと、宝島社の判断はなおさら不可解に思えるよなぁ。

〈盗作〉の文学史

〈盗作〉の文学史

何故か今年は長崎が舞台の映画が多い

これは単にワタシが長崎出身だから気になるのだが、今年公開の映画で長崎が舞台であったり、重要なロケ地になった映画が結構多いのよ。ぱっと思いつくのだけでも以下の通り。

で、少し前に故郷の母親から聞いたのだが、実家近くのお寺で何か映画のロケをやっていたとのことで、そのお寺はおよそ10年前にも映画『解夏』になっていた寺なのだが、これに続く映画もありそうとのこと。

実はワタシの実家から歩いて一分のある場所も『ペコロスの母に会いに行く』でロケ地になっているのだが、それとは時期的に違うらしい。

正直、故郷が舞台になっているから観に行くということはないのだが、『ペコロスの母に会いに行く』についてはワタシ自身協賛会員になっているので、映画版が竹中直人さんの出演時間が短い成功作になっていることを祈るばかりである。

ペコロスの母に会いに行く

ペコロスの母に会いに行く

サニー 永遠の仲間たち

サニー 永遠の仲間たち デラックス・エディション Blu-ray

サニー 永遠の仲間たち デラックス・エディション Blu-ray

本作は冒頭 "Time After Time" が流れる。紛れもない名曲である。というか、"Time After Time" が使われている時点でワタシの感情は昂ぶり、これは素晴らしい映画に違いないと盛り上がった。過去と現在が交差する手法にその予感は確信に変わった。

……のだが、本作のあまりにマンガ的な部分に引いてしまい、途中で一度はっきり集中が切れてしまった。ワタシの周りでも本作を絶賛した人が何人もいたが、邦画でこういうのをやったら真っ先にバカにしない? 韓流無罪ですか?

ただ本作のマンガ的な部分が全部ダメというか、効果的でないわけでもないのが悩ましいところ。時代考証的にも役者の演技にしても細部の描写の演出がよくできていたし、その映画的なところは見事だった。ご都合主義はあれど、自国文化に対する客観的な視点もちゃんとあり、全体としては良作だったのは間違いない。

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