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結局、ピーター・ガブリエルとケイト・ブッシュの間に男女の関係はあったのだろうか?

Coverville 恒例のアルバムをまるごとカバー曲のみで再現する企画だが、今回はピーター・ガブリエル(今更ゲイブリエルとは書かない)の1986年の『So』でやっている。

ジェネシス脱退後、イギリスを代表する個性派ミュージシャンとしてそれなりの地位を確立していたが、本作の大ヒットをもって世界的なロックスターの仲間入りをする(同時期にジェネシスも最大のヒット作『Invisible Touch』を生み出しており、こうした例は珍しい)。

ちょうど最近ピーター・ガブリエル公式 YouTube チャンネルに『So』時代の PV が公開された。彼のビデオは名作揃いなので紹介したいと思う。もちろんそれらは既に YouTube に上がっていたが、公式チャンネルなら堂々と紹介できるし、既存のものより画質が良いのもありがたい。

ビデオは正直大したことがないが、アルバム冒頭を飾る名曲である。今聴くとシンセの音が気になるが、この重厚さは当時 U2 やロビー・ロバートソンなどのプロデュースもしていたダニエル・ラノアの手腕が大きいだろう。

全米1位を獲得した彼にとって最大のヒット曲で、冒頭の(多分シンセによる)尺八の音は日本のテレビ番組でもおなじみだろう。クレイアニメを使ったビデオも大変話題になり「史上最高のビデオ」と言われた。今でもそういう企画をやればトップ10には間違いなく入るはずだ。

今このビデオを見直して驚くのは、なかなか「キモい」ことで、この曲の大ヒットのイメージから口当たりのよい作品をイメージしてしまうが、これまでのビジュアルイメージの延長上にある歪さや不気味さを失ってないのが分かる。

この曲もシングルとして大ヒットした。"Sledgehammer" がこれまでのアフリカンビート志向よりもオーソドックスな R&B への接近が受けたように、何よりこの曲はダンサブルだし、それまでのピーガブのイメージにそぐわない陽性さがある。

このビデオも話題になったが、やはり今見るとなかなか不気味である。この曲の歌詞は80年代的な拝金主義、成功の自己目的化を揶揄したもので、この曲のコマーシャリズムを考えると皮肉に思えるが、ピーガブ本人もそれは分かっていてこのビデオを作ったのだろう。

かつて「80年代最高のビデオ作家ゴドレイ&クレームの作品を回顧する」という文章を書いたときにも取り上げたが、ただピーガブとケイト・ブッシュが抱き合って回転するだけでビデオにしようと考えたゴドレイ&クレームは偉い。

ピーガブのビデオというと上2曲のような技巧的に凝ったイメージがあるが、それが目的ではなく曲に一番あった映像を求めた結果なのが分かる。曲自体素晴らしいのもあるが、こんなシンプルなのに目を離せない作品である。

……とかもっともらしいことを書いているが、この曲のビデオを1987年に初めて見たとき、当時童貞だったワタシが思ったのは、「こんな抱き合って密着してたら、勃起が相手に伝わり気まずくならないのだろうか?」だったのだけどね。

So

So

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