実は少し前にピーター・ガブリエルの全アルバム(正確には最新作を除くすべてのオリジナルアルバム+彼が手がけた2枚のサントラ+ライブアルバム1枚+ベストアルバム1枚)が1000円そこそこで再発されるのに気付いた。
Amazon980円劇場の圏内に入ってくれるとよかったのだが、1枚1009円まで下がったのが下限で、本文執筆時点では1017円ということで残念なり。それでも折角なので、ワタシが特に好きなアルバムを挙げておく。
- アーティスト: Peter Gabriel
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ピーガブというと、ソロになってからの1枚目から4枚目まですべて『Peter Gabriel』が正式タイトルで、同じタイトルを4枚に冠した人はもちろんこの人だけである(次点は『Weezer』が3枚ある Weezer か)。
同じタイトルだと区別が付かないので、1〜4と数字で呼ぶか、アルバムジャケットにあわせて Car、Scratch、Melt、Security という通称があるが、やはり一番インパクトがあるのはこの顔が溶けた3枚目だろうね。
サウンド的にもスティーヴ・リリーホワイトとヒュー・パジャムのコンビの音作りが評判になったし、ソロになってからの一つの到達点と言える。
近年ピーガブというと神格化、聖人視というと大げさだが、各種チャリティーへの取り組みから人格者のようなイメージがつくが、このジャケットに端的に表現されるような危なさを持った人なのよね。
映画『遠い夜明け』でも取り上げられた南アフリカ共和国の黒人活動家スティーヴ・ビコのことを歌った "Biko" は長らくピーガブのライブのラストで歌われ続けた代表曲。
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例によってジャケットが不気味だが、実際この当時猿メイクをして "Shock The Monkey" を歌いながら客席にダイブしてたんじゃなかったか。
ソロアルバム4枚からチョイスされたベスト盤的ライブアルバムだが、元々は2枚組なのをCD1枚分にコンパイルしているのに注意。
こういうアルバムを聴くと、自分がピーガブを好きなのは、ベースをトニー・レヴィンが弾いているという事実にかなり負っていることに気付く。これはワタシ的には映画におけるデヴィッド・クローネンバーグとハワード・ショアの関係に近い。
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言わずと知れた大ヒット作。まさかの全米1位シングルとなった "Sledgehammer" が顕著だが、それまでのアフリカンビートへの接近よりも南部ソウル的な音作りが勝因となった形で、しかしアルバム全体としては彼の試行錯誤が例えば "Red Rain" のダイナミズムや"In Your Eyes" の美しさに結実しているように思う。
少し前に80年代最高のビデオ作家ゴドレイ&クレームの作品を回顧したときにケイト・ブッシュとのデュエット "Don't Give Up" を取り上げたが、"Sledgehammer" のビデオは長らく史上最高のビデオと言われたし(YouTube)、まさに本作の成功を予め揶揄したかのような歌詞の "Big Time" のヒットもビデオの貢献が大きくて(YouTube)、それだけ見ると彼もすっかり MTV 時代の流れに乗っちゃってという感じだが、今この2曲のビデオを見直すと、はっきり「キモく」て、ただコマーシャルになったわけではないのが分かる。
Shaking the Tree: Sixteen Golden Greats
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とりあえず一枚ということであれば、ベスト盤を勧めるべきなのだろうが、本作は何故かアルバムバージョンが周到に避けられていて、その小賢しさがどうも好きになれない。
『Peter Gabriel 3』と『So』を聴き、前者が好きなら初期の作品を、後者が好きなら『Us』など近作を聴くのがよいのだろうな。
最近でも『WALL・E/ウォーリー』のエンディング曲を歌っていたし、単発の映画への提供曲をアルバムにまとめてほしいところ。