cakesは、さまざまなコンテンツをウェブで配信する、定額課金型のコンテンツ配信プラットフォームです。cakesはウェブ上で「コンテンツを売買するための仕組み」と、「コンテンツを適切な読者に届けるための仕組み」を提供します。Amazonがインターネットでの物販を「普通のこと」にしたように、インターネットでのコンテンツ販売を「普通のこと」にすることを目指しています。
http://www.pieceofcake.co.jp/news120627/
今月のはじめ『こわれゆく女』をシアター・イメージフォーラムに観に行ったとき、せっかく渋谷に出たのだからと加藤貞顕さんの会社に挨拶に伺った。
当方としてはお土産を渡し、挨拶だけして帰るつもりだったのだが、なぜか打ち合わせに同席することとなり、緊張しながら cakes の話を聞かせてもらった。いよいよティザーサイトオープンである。
cakes が目指すものについては上に引用したリリースにある通りなのだが、ワタシが何より好感を持ったのは、ウェブにおいて定額課金型のコンテンツ配信プラットフォームを目指している点である。
ワタシは最近の有料メルマガのブームにモヤモヤするものをずっと感じていて、しかし、書き手にとってそれが現時点でマネタイズの最も有力な手段であることも当然理解している。そしてそれは、ウェブが全般的に課金にずーっと成功できていないことの裏返しでもある。
もちろんその価値のある書き手がこれを利用してしかるべき収入を得ることは良いことだとワタシも考えているが、それなりの料金を毎月課せる書き手は限られる(読み手としても購読できる有料メルマガの数はやはり限られる)。しかも有料メルマガによるタコツボ化の弊害も散見される。
加藤さんの話を伺って、cakes は現状に挑戦するものだし、これはウェブ時代における良質な「雑誌」の役割を果たすのではないかと感じた。ここで「雑誌」という言葉を出してしまうとあまりプラスに感じてもらえないかもしれないが、パーソナライズを前提としているのがポイントである。しかも、これがうまく回れば新しい書き手を引き上げるプラットフォームも期待できる。
cakes は週150円の定額課金型で、平均的な有料メルマガひとつ分の料金である。誰が書くという話もいろいろ聞かせてもらった。ワタシも読みたい書き手が何人も執筆するだろうとだけ今は書いておくが、ワタシが同席した打ち合わせでも、これは当たるのではないかという企画が話題になり、単なる雑文の寄せ集めには終わらないことは確かである。
以上のようにワタシは cakes に期待するし、成算もあると思うが、いくら好条件が揃っているように見えても落とし穴はあるもので、うまく回らない可能性はいくらでもある。もちろんそれを承知の上でリスクを取る加藤さんを1973年組の星として尊敬するし、ワタシも応援したいと思う。
加藤 あのまま会社に残っても、あるいはどこかに転職したとしても、やりたいことは変わらないし、大変なことに違いはないんですよ。会社には会社の、転職先には転職先の、独立には独立のしんどさがある。どっちを向いてもラクな道なんかないんです。
https://cakes.mu/teaser/01/
で、どうせ汗をかかなきゃいけないのなら、新しいことに挑戦して「気持ちのいい汗」をかこう、と。それだけですよ。