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ビジネスモデルのイノベーションは技術的イノベーションよりも破壊的ゆえに暗号資産ビジネスには期待できる?

ツイッター業物語』に登場する冷徹傲岸な投資家としておなじみフレッド・ウィルソンが、ビジネスモデルのイノベーションは技術的イノベーションよりも破壊的だという話を書いている。

ウィルソンが例として挙げるのは、ウェブからモバイルアプリへの移行と、デスクトップコンピュータからウェブへの移行の違いである。ウィルソンによると、前者は大方技術的なイノベーションだったという。確かにモバイルへの移行により新規参入する企業も生まれたが、ビジネスモデルにはほとんど変わりがなかったので、ネット大企業の市場における地位を強化するだけだった。

一方で、後者はソフトウェアライセンスを販売するモデルから広告モデルへの移行は、ビジネスモデルの変化を伴い、すこぶる破壊的だった。そしてその移行が、後のサブスクリプションフリーミアムモデルにもつながったという。

フレッド・ウィルソンが、分散型アプリ(decentralized apps)を採用する暗号資産をベースとするビジネスに興奮するのはこの点にあるという。つまり、まったく新しいビジネスモデルのイノベーションを実現するスタートアップがビッグプレイヤーになる可能性があるのではと見ているわけだ。

言われてみると、これは5年以上前に「2014年はビットコインの年になるか?(別にならんでいい)」で紹介した、クリス・ディクソンがビットコインに期待する理由にも通じるものがあるように思う。

仮に(自分が投資する)テクノロジー産業が金融サービス産業を変えようと思っても、既存の金融サービス企業の上では新しいサービスを作るというのはありえない。例えて言うなら、GoogleApple のプラットフォーム上でサービスを作ることで GoogleApple を打倒しようとするようなものだ。本当にインパクトを与え、大きなビジネスを生み出すには、既存の金融産業を完全に迂回して出し抜くサービスを作る必要がある。

2014年はビットコインの年になるか?(別にならんでいい) - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)

でも、Bitcoin の一番エキサイティングな(しかも、危険をはらんでいるのは認めなければならない)ところは、「プログラム可能なお金」があらゆる面白く新しいビジネスや技術モデルを可能にするところだ。

2014年はビットコインの年になるか?(別にならんでいい) - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)

だからこそフレッド・ウィルソンの USV は Facebook がぶちあげた仮想通貨 Libra を後援しているわけである。Libra が実現しなくても、大量のユーザがトークンをスマホに保持し、利用する未来が来ると確信していており、それを機にビジネスモデルのイノベーションの波が押し寄せるのが待ち遠しくてたまらん、とウィルソンは楽観的に予測している。

ビジネスモデルのイノベーションは技術的イノベーションよりも破壊的という考え方は、ブロックチェーン技術周りの仮想通貨、暗号資産を考える上で大事かもしれないね。

トークンエコノミービジネスの教科書

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