「もっとも有名な10のキャリアを棒に振ったアルバム」とのことだが、そういえばこのブログでは昔「天才が意図的に作ったクソアルバム5選(でも実はそれほどひどくない)」なんてエントリを書いたことがあって、一部重なっている。
今回のリストにしても9位のビースティ・ボーイズの Paul's Boutique など、Pitchfork のアルバムレビューでの10点満点の評価を知る人ならなんじゃそりゃと思われるかもしれないが、確かにリリース当時はキャリアの自殺行為とすら思われていたということですね。
そうした意味で、4位の Weezer の Pinkerton も Pitchfork のアルバムレビューでの10点満点で、同じくリリース時はかなり否定的な声もあったが、後に高く評価されるようになった例と言える。そういえば、リヴァース・クオモはこのアルバムについて、「最高傑作になるはずだったのにダメになってしまった。僕らバンドにとってはほぼゲームオーバーのような感じだったよ」と最近振り返っている。
そうした意味で、この「キャリアを棒に振ったアルバム」リストには逆説的な存在も含まれているわけだが、その一方でクラッシュのラストアルバムやボブ・ディランの『自画像』などこうしたリストの定番アルバムも含まれており、何よりリストのケツとトップがいずれもワタシがこよなく愛するルー・リードのアルバムというのになんとも言えない気持ちになる。
堂々の1位に輝く Metal Machine Music はワタシもただのゴミとしか思わないので別にいいのだが、最後のスタジオアルバムになってしまったメタリカとの共演作 Lulu が10位に入っているのは、やはり悲しい。
このアルバムに対する辛辣で過酷な評価が、ルー・リードをひどく傷つけたことは知られている。ワタシ自身、このアルバムは一度しか通して聴いていないので偉そうなことは言えないのだけど、リリースから10年を経て再評価されないものかと思う。
- アーティスト:Lou Reed & Metallica
- 発売日: 2011/10/31
- メディア: CD
ちょっと気持ちが下がってしまったが、奇しくもこのリストでもセルフタイトルのアルバムが6位に入っちゃっているリズ・フェアの新曲 "Hey Lou" のビデオで、ルー・リードがチャーミングなマペットになって登場しているのを紹介しておく。これはちょっとなごんだ。