当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

Twitter はてなアンテナに追加 Feedlyに登録 RSS

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

金曜夜、『マエストロ:その音楽と愛と』を観に行くために早めに食事をして、そろそろオンライン予約して映画館に出向こうか、というところで海外から仕事の連絡が入った。

調べてみるとガチの緊急事態ではなかったため、半時間強で用事は済んだのだが、『マエストロ』には間に合わない時間になっていた。仕方なくその時間から手近なシネコンで観れる映画を探し、観測範囲で良いという噂を聞く本作にした。驚異の3週連続興収アップとのことで、ワタシが観たレイトショーでも前方の席しか空いてなかった。

正直、本作の話を最初に聞いたときは、なんで今『ゲゲゲの鬼太郎』の映画? と思ったし、水木しげる生誕100周年企画と知った後も、自分が観に行く映画としてまったく考えてなかった。なので、良い評判を聞いても正直どうなんだろうねという感じだったが、結論を先に書くと、今年観た映画で一番良かった。すごかった(語彙)。

本作はタイトルを見て想像できるように鬼太郎のオリジンもので、『犬神家の一族』を連想させる、因習村の呪われた有力者一族の人間が一人、また一人と殺されていくストーリーが準拠枠となっている。

最初と最後しか鬼太郎が出てこない、そして禍々しい内容を含む本作の脚本をよくぞ映画会社に納得させたものだと感服させられる。本作の狂言回しである主人公水木の戦争体験もがっちりそのストーリーに絡んでおり、そのあたりも妥協がない。

ワタシは鬼太郎ものの近作をまったく観ていないのだが、本作を観ていて、自分が小さい頃に見た鬼太郎は、子供心に結構怖かった(そして、平成に入ってからのテレビアニメに物足りなさを感じた)のを思い出した。大人になってから読んだ彼の貸本時代の「猫又」を読み、あるカットがあまりに怖くて思わず読んでた本を落としたことを思い出した。

もちろん本作に当時のおどろおどろしさはないが、それを本作の舞台設定が補っている。

エンドロールで原作者の貸本屋時代の筆致を再現した画が描かれ、観ているこっちの熱がどんどん高まったところで、最後にドーン! と本作のタイトルが出るところに心を持っていかれた。

以前にも書いたことがあるが、映画の最後にタイトルがどーんと出る映画が『ダークナイト』以降顕著に増えた印象があり、それが効果的な作品もいくつかあったが、エンドロールまで引っ張っての最後というのはなかなかないし、本作はそれだけの強度を持った映画になっている。

つまり、何が言いたいかというと、本作は映画史に残る作品だということ(マジで!?)。

[YAMDAS Projectトップページ]


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
YAMDAS現更新履歴のテキストは、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

Copyright (c) 2003-2023 yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)