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ローレンス・レッシグの久方ぶりの新刊『大統領選挙の盗み方』が出ていた

lessig.medium.com

ローレンス・レッシグの Medium で知ったのだが、彼の久方ぶりの新刊(共著)How to Steal a Presidential Election が出ていた。

『大統領選挙の盗み方』という書名から分かるように、今回の新刊も米国の政治が主テーマであり、これは邦訳は難しいでしょうな(そういえば、『They Don't Represent Us』だかが山形浩生訳で出るという話はどうなった?)。

2021年に起きた米国議会議事堂襲撃事件をどうしても想起する、いかにも不穏で物騒な書名だが、現行の制度では大統領選挙のハッキングが可能なので、アメリカの民主主義が永久に損なわれる前に、大統領選出の不安定なシステムを補強する必要があると訴える本とのこと。

www.theguardian.com

レッシグらが想定している危機は、やはりというべきか、ドナルド・トランプ並びに共和党が選挙結果を覆しかねないという脅威であり、それを可能にする制度の抜け穴である。

この Guardian のインタビューによると、トランプ陣営は3年前の議事堂襲撃事件のときに明らかにできたはずの手があったのに、それをしなかったというのがレッシグの認識であり、その危険性を訴えるのが新刊というわけですね。

レッシグらが想定するシナリオはいくつかあり、各州の代議員が誓約に反して敗者を支持する「忠実でない選挙人」、大統領選挙の結果をひっくり返さんとする州知事が現れる「ならず者知事」、あと州議会全体が闇落ちするシナリオなどを挙げている。

ワタシはアメリカの選挙制度に関しては大した知識がないので、レッシグらの懸念がどこまで深刻な危機たり得るかはよく分からない。しかし、まさかここまでアメリカの民主主義自体の危機が本格化するとは思わなかったな。このインタビュー記事の締めはこうだ。

「多くのトランプ支持者が、どんなことも正当化されるという感覚を持っているのが恐ろしいのです」とレッシグは語る。「トランプが民主主義の核となる規範をことごとく否定しているのに、彼への支持は衰えることを知りません。それは驚くべきことであり、恐ろしいことです」

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