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今年ローレンス・レッシグの本が2冊も出る

この記事を読んでおっと思ったのは、ローレンス・レッシグの近況が知れたこと。大統領選挙に出馬しかけたこともあるレッシグ先生だが、「現在のアメリカの政治家を選出するシステムが完全に崩壊していることやすべての国民の票が平等ではないこと、国民の意見が無視され、民主主義が崩壊していることを憂い、それを変えていくために」Equal Citizens という非営利団体を創設しているとな。

さすがやねと思ったが、そうなると当分(つまり大統領選挙の間)は本とかも出ないのだろうなと念のため調べてみたら、なんと今年彼の本が二冊出る予定になっていて驚いた。昨年秋に久方ぶりの新刊『America, Compromised』が出て間もないのに。

Fidelity & Constraint: How the Supreme Court Has Read the American Constitution

Fidelity & Constraint: How the Supreme Court Has Read the American Constitution

来月出るこちらは憲法学者の本領を発揮した本みたいで、581ページのハードカバーなんだから相当な分量だ。キャス・サンスティーンも推薦の言葉を寄せている。

They Don't Represent Us: Reclaiming Our Democracy

They Don't Represent Us: Reclaiming Our Democracy

They Don't Represent Us: Reclaiming Our Democracy (English Edition)

They Don't Represent Us: Reclaiming Our Democracy (English Edition)

こちらのほうが Equal Citizens の活動に近そうな内容である。レッシグ先生は、今のアメリカ政府は国民を代表しておらず、またその再建が民主主義のために必要不可欠であり、それは可能だと考えているわけだ。

表紙で「THEY」と「US」が分断/対比されているが、これはいわゆる庶民と特権階級の分断を指す「us-and-them」という表現を意識したものだろう。この週末に起きた交通事故とその容疑者の処遇を巡り、「上級国民/下級国民」といった言葉がネットをかけめぐった日本も無縁な話じゃないと思うのよね。

ただ、「政治の腐敗」を研究テーマにするようになってからレッシグ先生の本は邦訳がまったく出ておらず残念なことである。山形浩生「山形の著書訳書など」のページに『腐敗』と題された訳書が予告されているが、これがレッシグ先生の本だったりしないのだろうか。

それはそうと、このエントリの冒頭でリンクした渡辺由佳里さんの記事にあるアンドリュー・ヤングとレッシグ先生の対論の模様は YouTube で見れる。

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